あれ以来赤葦くんと話すこともなく1週間が経過した。
放課後、本を持って図書室に行くと、珍しく図書室には誰もいなかった
もともと静かな場所が好きなので、しばらく居座ることにした。
1時間くらい経ったのだろうか、時計の針は5時を指していて、慌てて片付けをし、教室に戻ると、私の席に誰かいる
ドアの窓から覗いてみると、そこには机に伏して寝ている赤葦くんがいた。
たしか今日はバレー部はオフのはずだ
赤葦くんはニコッと笑うと立ち上がって、
と言った。
私は慌てて教室に入り鞄に荷物をまとめた
次、話す約束ができて嬉しすぎて、もう泣きそう。今日は命日かもしれない。
玄関に着くと、外はいつの間にか降ってきた雨で地面が濡れていた
傘を持ってくるのを忘れた…
子犬のような目で、赤葦くんは私の顔を覗き込んできた。断れるわけない。
さりげなく歩道側歩いてくれたり、傘を傾けてくれたり、紳士で、かっこよくて、私はまた赤葦くんを好きになる
顔を見るたびに、ああ好きだなぁって思うし、私如きが赤葦くんとどうこうなろうとかそう言うわけじゃないけど、やっぱり隣にいたいなぁって思ってしまう
クスッと笑った赤葦くんと目があって、慌てて逸らしてしまった。赤葦くんの横顔が美しくて見惚れてしまった
あまり2人ともベラベラ喋るってわけじゃないから、沈黙も心地良くて、結局赤葦くんがいればなんでもいいんだなってことに気付いてしまった。
赤葦くんはそう言うと来た道を戻って行った
うすうす感じてたけど、やっぱり家、逆方向だった
家に入ってブレザーを脱ぐと、ポケットの中からなにやら紙が落ちてきた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。