最近、侑が昼休みのたびに3年の教室に来るようになった。
ほら…
そんなキラキラした目で見られたら断れない
聞いてへんわこいつ。
そう言って出て行った信介と入れ違いでまたあの子が入ってきた。なんだっけ…李零??
「侑ー!」
「この前の試合のデータなんやけど…」
「せやろ?そー思って持ってきたんや」
「意外とは余計や」
ガタン
これ以上2人を見ていたくなくて、逃げた。侑はあの子のことが好きなんかなー
せや、あの子も侑のこと好きそうやから、くっついちゃえばいいんや。そしたら諦めもつく。
教室に戻ったら2人ともいなかった。3年の教室に2年が2人でいたらおかしいもんな。
スマホを開くとメッセージが一件来てた
いいこと思いついた。李零ちゃんに作って貰えば一石二鳥な気がする
画面の上だと怒ってるように見えるな。
最後に送ったそのメッセージは侑に既読無視された。なんや、図星か。
思ったより胸が痛い。でも、これでちゃんと諦めれるなら安いもんやで。
午後の授業も終わって、信介に弁当箱の回収に行く。
後ろから腕を引っ張られて振り向くと、そこには息切れしている侑がいた。
そう言って私はズルズルと侑に引っ張られて行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!