第16話

稲荷崎with宮侑
2,756
2019/04/22 01:40
最近、侑が昼休みのたびに3年の教室に来るようになった。
宮侑
伊織さーん
水樹伊織
侑、クラスに友達いないんか?
宮侑
おるわ!
水樹伊織
お姉さん心配になってくるわ
宮侑
伊織さんこそ俺以外の友達おらへんとちゃうか?
水樹伊織
おるよ〜
ほら…
北信介
伊織〜ってまた侑おるんか
宮侑
またってなんすか北さん
北信介
ここ1週間ずっとおるやろ
宮侑
そんなこと言ったら北さんだって昼休み毎日伊織さんのとこ来るやないですか
北信介
俺は弁当取りに来てるんや
宮侑
…弁当?
北信介
せや、うち共働きやから両親ほぼ家におらんねん
北信介
やから伊織に頼んでんねん。侑もお願いしたらどうや?
宮侑
ええんか?
そんなキラキラした目で見られたら断れない
水樹伊織
え、ええけど
北信介
あ、ごめん伊織、伊織が大変やな?
水樹伊織
それは心配いらん。侑の栄養バランスずっと気になってたんや。こいつほんまにスポーツ選手なんかって
北信介
伊織言い過ぎ
水樹伊織
あ、すまん
宮侑
伊織さんの手作り弁当…
聞いてへんわこいつ。
北信介
ほなありがとさん
そう言って出て行った信介と入れ違いでまたあの子が入ってきた。なんだっけ…李零??
「侑ー!」
宮侑
なんや李零
「この前の試合のデータなんやけど…」
宮侑
それ、俺見たかったやつ
「せやろ?そー思って持ってきたんや」
宮侑
気ぃきくな意外と
「意外とは余計や」
ガタン
宮侑
なしたん?
水樹伊織
とょっとトイレ
これ以上2人を見ていたくなくて、逃げた。侑はあの子のことが好きなんかなー
せや、あの子も侑のこと好きそうやから、くっついちゃえばいいんや。そしたら諦めもつく。
教室に戻ったら2人ともいなかった。3年の教室に2年が2人でいたらおかしいもんな。
スマホを開くとメッセージが一件来てた
宮侑
伊織さんの弁当楽しみにしてる
いいこと思いついた。李零ちゃんに作って貰えば一石二鳥な気がする
水樹伊織
マネの子に頼めばええんやないか?
画面の上だと怒ってるように見えるな。
宮侑
なんでや?
水樹伊織
あの子といい感じやん侑
最後に送ったそのメッセージは侑に既読無視された。なんや、図星か。
思ったより胸が痛い。でも、これでちゃんと諦めれるなら安いもんやで。
午後の授業も終わって、信介に弁当箱の回収に行く。
水樹伊織
信介ー弁当箱………??
後ろから腕を引っ張られて振り向くと、そこには息切れしている侑がいた。
水樹伊織
どうしたん侑
宮侑
ちょっと来て
水樹伊織
練習あるやろ
北信介
なんや、侑急ぎか
宮侑
超急ぎや
北信介
敬語使わんかい!
宮侑
す、すんません
北信介
練習遅れんじゃねーぞ
宮侑
うす
そう言って私はズルズルと侑に引っ張られて行った。

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