「ずっと好きでした!私と付き合ってください」
はい、ありがちー。告白場面の遭遇。映画、漫画、小説、あらゆるジャンルでのありがちなシーンに居合わせてしまった私、水樹伊織は木兎光太郎の幼馴染です(それもまたありがち)
走って去って行った女の子はとても綺麗な子だった、あれは一個下の読モやってる子だったはず。
普通ならさここで、「おい、なに見てんだよ」って見てるのバレて、「覗き見なんて趣味わりぃな」とか言われたりするのに木兎は私に気づくどころか告白されたことを3秒で忘れるようなやつだ。
だから、自分から飛び込んでいく
なんか意外だ。木兎がそんなこと考えてるなんて。
なぜこの人は私の好きな人が赤葦だと思っているんだろう。バカなのか。
たしかに、赤葦には一度告白されてるけど、振ったし、木兎との恋愛相談に乗ってもらったりはしてるけどさ
かなり前だけどね。まあ、許してよ。
少しでも安心するそぶりを見せてくれればいいのに。
カチンと来た。がっかりしてるこいつ。
木兎の顔色を伺いながら言ってみる。
顔色は変わらない。けど少しだけ返事がそっけない。これはうまくいったかも
こちらに見向きもせずにそそくさと歩いていく。
作戦成功(?)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。