ヒラヒラと落ちてきた紙を拾い上げると、裏側には何か文字が書いてあった
ずっと好きでした。
と、小さく少し角ばった文字で書いてあった。
…見たことある
私が今日関わって、ブレザーのポケットにこの紙が入ってしまうとしたら
赤葦くんしかいない
し、この字は赤葦くんの字だった。べべべつにストーカーしてるからじゃなくて!一度だけプリントを拾った時に字を見ただけで、…
でも、偶然入っちゃったのかな…好き…なんておこがましいよね。
赤葦くんに好きな人いるのかなぁ、
その日は全然眠れなかった
眠れなかった上にはやく目が覚めていつもより40分も早く学校についた
ふらっと、遠回りして教室に向かおうとして体育館からボールが弾む音がして、ドアに近づくとすぐ側で話し声が聞こえた
びくっっ
えっと、木兎さん…?
赤葦くん?!
カタンッ
聞かなきゃよかったなあ
赤葦くんの好きな人は伊織ちゃん、だ。
あ、だめだ。涙が出てきちゃう。
いつからこんなに欲張りになったんだろう
赤葦side
木兎さんなんて信用できない。なんでバレちゃったんだろう。
カタンッ
?
今音したよね?
ドアを開けてもそこには誰もいなかった。
朝練が終わって教室に向かう途中、あなたと話がしたくて教室を覗いてみたけど、カバンがあるだけで席にはいなかった。
出直すか…
と、振り向いた時視界の隅で長い髪がふわっと揺れるのをみた。
ちらっとこちらを見て、逃げるように教室に入っていった。そして運悪くチャイムが鳴って止むを得ず教室に戻った。
あなたside
に、逃げてしまった…
赤葦くんの呼びかけに対して無視なんて…天罰が下るようどどどどうしよう
いやでも、赤葦くんにも赤葦くんの好きな人にも迷惑がかかっちゃうからこれでいいんだ。
伊織ちゃんと付き合うのかな…
ボーッとしていたらあっという間に昼休みで、食欲の沸かなかった私は図書室へ行くことにした
振り向くと、教室のドアの前には赤葦くんがいて
と、言われて屋上へ連れて行かれた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!