私はウサギ君の後ろを付いて歩く。
一定の距離を保ちながら。
隼人?って……
と、口を塞ぐ。
隼人という名前に馴染みがないせいか
そう口走っていた。
爽やかな笑顔でそういうウサギ君。
私はいつも悪魔の隣に居るウサギ君にそう尋ねる。
でなければ、好きであの人の隣にいるわけない
だけど相変わらず笑を浮かべたまま
予想もしてなかったことに驚きを隠せずにいる。
私の聞き間違いでなければ、さっきウサギ君は
悪魔のことを恩人と言った。
てっきり私と同じ様な目に遭った人なのかと
思った…
そう聞き、後で後悔する。
そう言い、中庭のベンチに移動する。
さっきまでの笑顔とは違い少し…私の勘違いかもしれないけどウサギ君の笑顔は少し寂しそう
何があったのかはまだ分からない。
だけどその過去が辛ければ辛いほど
思い出す度に心が痛む。
それを知ってる私は少しウサギ君の気持ちが分かる。
私は静かに聞く。
やっぱりウサギ君の声はどことなく震えてる気がした。
【夏目夜斗 〜小学生〜】
俺は自分で言うのも何だけど、割と友達は多かった。
学校の帰り、公園でみんな集まってサッカーをしたり、駄菓子屋でお菓子を買って皆で食べたり友達付き合いも良好だと思っていた。
だけどある日…
「なぁ!サッカーやろうぜ!」
いつものメンバーにいつもの場所でサッカーをやろうといつも通り誘ってみた。
が、俺と顔すら合わせようとしない。
「何だよ。無視すんなって」
笑いながら、1番仲の良かった友也って子の肩に手を置くと…
「触んなよ。俺たちこれからお前と遊ぶ気なんてねーから」
その手を払い除け、そう言われた。
俺はわけが分からなかった。
だって昨日まで一緒に遊んでたんだ。
なのにどうしていきなりそんなこと言うんだよ
友也以外の皆も、俺を居ないものとして過ごしたり 俺は気づけば
__学校の輪から外されていた__
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。