杉山君の所も試合が終わったのかコートから離れている。
どうして…どうして忘れてたんだろう。
杉山君がバスケをしていたということ。
バスケをする杉山君に恋をしたこと。
ズキズキ…
杉山君が近くにいるからなのか
胸の痛みは本当の痛みをみせる。
「お前なんてただの遊びなんだよ」
「お前なんてただの遊びなんだよ」
周りの声が聞こえなかったが悪魔が私の意識をやっと戻してくれた。
私の異変に気づいてか気を使ってくれる2人。
今は…今はこの2人の優しさに甘えよう。
私たちは自販機がある1階に降りる。
財布を持って尋ねてくる悪魔。
悪魔は言葉は相変わらず荒いものの
温かい優しさは伝わってくる。
悪魔と居てもやっぱり楽しいし落ち着く。
私はお言葉に甘えて買ってもらうことにした。
3人で近くのベンチに座って次の試合について話し合ってると聞き覚えのある声が近くで私の名前を呼んだ。
心臓が嫌な音を立てる。
鼓動が速くなる。
今、1番聞きたくない声…
「うわ綾川じゃん。」
「え。てか綾川の隣に居る男子2人ちょーレベル高くない?」
「ほんとそれ!」
そう…相変わらず周りを沢山の女子に囲まれた
私の…大好きだった人…
悪魔とウサギ君が息を飲んだのが分かる。
2人は私の過去について知らない。
ううん。あんな過去知られてはならない。
そう言って近づいてくる高杉くん。
その度鮮明に浮かび上がる過去。
私はそう叫ぶ。
すごい形相で睨む悪魔。
私を庇うかのように立ってくれるウサギ君。
そう言って高杉くんはどこかに行った。
そう言って頭を撫でてくれる悪魔。
なんだろう…
あんなに男子なんて嫌いだって思ってたけど
悪魔に頭を撫でられるのは嫌じゃない。
むしろ落ち着く。
私は頭を撫でる手をやめた悪魔の顔を見つめ手そう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。