昼休みもあまりゆっくりできず、午後の授業が始まった
そして今はもう放課後
校門辺りでキョロキョロしている人がいた
着ている服は制服で、だけどこの学校の制服ではなかった
_あぁ朝見た人だ
背がちっちゃくて髪に赤がかかっていた
_女の子?
そう思ったけど制服はズボンだった
なんか少し声をかけたくなった
声も高かった
_やっぱり女の子か
この人も話し方からして戸惑っていた
_話かけない方がやっぱり良かったかも……
素早く頭を下げて小走りで学校とは反対の方向に向かっていった
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やっぱりさとみくん……………?
と、とにかく皆に言わないと……!
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_まあいいや、早く帰ろ
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ボフッ
俺は家に帰ってすぐベッドに飛び込んだ
明日も学校か……………………
制服がぐちゃぐちゃになるのも嫌だからベッドから起き上がり、カバンを置いてキッチンへ向かった
この時間だけは俺の好きな時間だった
今日は何を食べたいか考えて、冷蔵庫の中にあるもので作る
それで想像通り作れたら嬉しい、みたいな
くだらないけど、料理をするのは好きだし、食べるのも好き
学校やバイトの疲れも癒されるみたい
俺の中では料理というのはとても大きな存在
もう、ストレスは溜まりに溜まっている
だから、何をしたって変わんない
そう、俺は思う
最近ため息しかつかないし、まだ泣けないし
何も成長しない自分がだんだん嫌いになってくる
……何かないのかな
例えばこの生活をすっかり変えてくれるような
少しでもストレスが減るような
お願いするしか俺には出来ないから
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!