第6話

大きな一歩。
61
2020/10/09 14:28
伊藤 汰一
伊藤 汰一
ということで、
文化祭何やりたいか聞きまーす。
神坂 白織
神坂 白織
事前に考えて頂いた案を発表してください。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
出来れば楽なヤツで。
馬場
馬場
それはお前が楽したいからだろ!!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
え??ごっめーーん。
ちょっと電波悪くて聞こえなーい。
男子
電波wwww
神坂 白織
神坂 白織
えっ、えっと、
伊藤 汰一
伊藤 汰一
うん、大丈夫。
俺が初めから他のヤツと話しすぎて不安になったのだろう。


真面目だしね、そりゃそうだ。


でもまぁ真面目な雰囲気は、


出しすぎると眠くなるしつまんない。


俺が上手くバランスを取れば良いと思う。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はいっ!神坂が困ってるよ!
皆案出してくれます~?
神坂 白織
神坂 白織
馬場
馬場
あの神坂さんを困らせ…!?
うーん、じゃあ無難にカフェ!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
カフェかぁ~いいな。
男子
待て待て、それなら…
ここから約15分、案がいくつか出て、


クラスの大半で話し合い、いらない案を削っていった。
神坂 白織
神坂 白織
集計により、決まった案は、
神坂 白織
神坂 白織
仮装カフェに決まりました。
仮装することを推していたクラスメイト達は、


ガッツポーズ共に、叫んでいた。
女子
うっるさ!(笑)
女子
仮装か~手作りとか楽しそう~(笑)
神坂 白織
神坂 白織
……✨
伊藤 汰一
伊藤 汰一
わっかりやっす…
神坂 白織
神坂 白織
何?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
イイエナンデモアリマセン。
明るくいつものクラスらしい話し合いに、


神坂の目が輝く。


学級委員のやる話し合いは静かだからな。
女子
ねぇねぇ、実行委員!
女子
コスプレってアリ!?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
文化祭ってハロウィンの日だよな?
神坂 白織
神坂 白織
え?そ、そう…です。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
じゃあそこは学年トップ神坂さんにご判断をお願いしましょう。
一部の明るめな女子達、


俺はあくまで神坂の協力をしてるだけだし、


ここも身を引いて神坂に…と。
女子
神坂さん!
女子
お願いっ!!
男子
俺もコスプレやりたぁい!
神坂 白織
神坂 白織
え、えっと…じゃあ…コスプレも、
仮装…みたいな…ものだよね。
神坂 白織
神坂 白織
お化けとか、ハロウィンに関するモノを持ってれば…
神坂 白織
神坂 白織
OK、です。
女子
やったっ!!
男子
よっしゃ買いに行こうぜ!
男子
今日行っちゃう!?
神坂 白織
神坂 白織
………伊藤くん。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はいっ、何でしょう。
神坂 白織
神坂 白織
また、言いましたね。
あれっ、声のトーンが低いです。


ちょっと怖いです。


オーラ出ちゃってます。


流石に『学年トップ』二度目はアウトでしょうか。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
ひ、ヒェッ、すいません。
神坂 白織
神坂 白織
ふ、ふふ、ごめんなさい、脅しに聞こえた?ノリ、というやつを…え?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂…今もしかして……
馬場
馬場
か、かかか神坂さんが笑った!?!?
男子
やべぇやべぇやべぇやべぇ…
女子
はぁぁぁ…顔面国宝じゃん。
神坂 白織
神坂 白織
…え?あ、あの?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂って笑えたんだな…って、
今皆感動と驚きに包まれてるから…。
あのね、本当に、テレビで見る顔面国宝よりも顔面国宝してるもん。


凄いね、整った顔の人が笑うとここまでやられるのね。


あっ、心臓貫かれた、みたいな。
神坂 白織
神坂 白織
私も人間なんだけど…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂さ、いつも口角上げた方が…
神坂 白織
神坂 白織
方が?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
…いやぁ何でもない!
これは今本当に俺が言うべきヤツじゃあない気がした。


だから、何とか飲み込んだ。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
それより馬場ぁ!!
馬場
馬場
はいはいなぁに!!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
神坂が『さん』付け嫌だってさ!!
馬場
馬場
えっ!!!!無理!!!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
どれくらい!?
馬場
馬場
熊と相撲するくらい!!!
あ、神坂さんは熊じゃないよ!?!?
神坂 白織
神坂 白織
伊藤くん、私、そんなこと、一言も…
女子
熊位戦え男だろ!!
女子
無理じゃない!!
女の子なんだからね!?!?
女子
神坂さん、
私も前から名前で呼びたくて…!
女子
白織ちゃんって呼んでも良い!?
神坂 白織
神坂 白織
ちゃ、ちゃん…!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はい、あとは神坂次第です。
俺と女子を交互に見ながらあわあわする神坂。


だがここからは神坂がどうにかしなきゃいけない。


手を貸しすぎるのもまた良くないこと。
神坂 白織
神坂 白織
……あ、あの、皆さん。
神坂 白織
神坂 白織
私のことは、気軽に呼んでください。その、私も、皆さんと仲良くしたいと…思って、います。




こうして、また大きな一歩を踏み出した神坂。


確実にクラスメイトと神坂の間にあった、


分厚い氷の壁は、ゆっくりと溶けただろう。


俺のお陰だね、さすが俺。お疲れ俺。

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