俺が初めから他のヤツと話しすぎて不安になったのだろう。
真面目だしね、そりゃそうだ。
でもまぁ真面目な雰囲気は、
出しすぎると眠くなるしつまんない。
俺が上手くバランスを取れば良いと思う。
ここから約15分、案がいくつか出て、
クラスの大半で話し合い、いらない案を削っていった。
仮装することを推していたクラスメイト達は、
ガッツポーズ共に、叫んでいた。
明るくいつものクラスらしい話し合いに、
神坂の目が輝く。
学級委員のやる話し合いは静かだからな。
一部の明るめな女子達、
俺はあくまで神坂の協力をしてるだけだし、
ここも身を引いて神坂に…と。
あれっ、声のトーンが低いです。
ちょっと怖いです。
オーラ出ちゃってます。
流石に『学年トップ』二度目はアウトでしょうか。
あのね、本当に、テレビで見る顔面国宝よりも顔面国宝してるもん。
凄いね、整った顔の人が笑うとここまでやられるのね。
あっ、心臓貫かれた、みたいな。
これは今本当に俺が言うべきヤツじゃあない気がした。
だから、何とか飲み込んだ。
俺と女子を交互に見ながらあわあわする神坂。
だがここからは神坂がどうにかしなきゃいけない。
手を貸しすぎるのもまた良くないこと。
こうして、また大きな一歩を踏み出した神坂。
確実にクラスメイトと神坂の間にあった、
分厚い氷の壁は、ゆっくりと溶けただろう。
俺のお陰だね、さすが俺。お疲れ俺。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!