第13話

〝面白い〟
53
2020/10/21 08:08
神坂 白織
神坂 白織
伊藤くん。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はいっ、はいちょっと待ってはい。
後ろから神坂に話しかけられ、


別に隠す訳は無いけれど、本をバッグにしまう。
神坂 白織
神坂 白織
はいが三回あったけど…大丈夫?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
うん、大丈夫。どうかされましたか。
神坂 白織
神坂 白織
その、あの方法を、教えてとは言ったものの、まだよく分からなくて…
あの方法というのは、


人に好かれる方法的なやつであろう。


それを誰かに聞かれたくないから濁してる。


別に言っても俺は良いんだけどね。
神坂 白織
神坂 白織
紫信ちゃんとも…お、お友達になれて、クラスの皆にも話してもらえて、
神坂 白織
神坂 白織
親からも、雰囲気が変わったと言ってもらえて、本当に嬉しいんだけど…
伊藤 汰一
伊藤 汰一
けど?
神坂 白織
神坂 白織
まだ、どう接してあげればいいかとか…よく分からなくて…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
俺じゃ…あぁぁ、いやなんでもない。
ついこの前蹴られたばかりなのを思い出す。


俺ではないといけない理由があるから。


先程から中嶋の冷たい視線を感じるし、


圧がかかってたからこそ気付けた。


『俺じゃなきゃ駄目?』は、禁句である。


一度面倒臭がりの俺を殴るべきだろうか。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
放課後、実行委員会の後一緒に帰ろう。で、お話聞くし、答えるから。
神坂 白織
神坂 白織
…ありがとう!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
いいえ、むしろ俺で良いか凄く凄く不安&心配です。
神坂 白織
神坂 白織
それはもう!心強いよ!
中嶋 紫信
中嶋 紫信
白織~!次、移動教室だよ~。
中嶋 紫信
中嶋 紫信
ってごめん。お取り込み中?(笑)
伊藤 汰一
伊藤 汰一
何?煽りかな??煽り亜種かな??
中嶋 紫信
中嶋 紫信
はいはい、分かってる。
いいか伊藤、白織泣かせたら○す。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
怖い怖い、ヤメテねバレーボール投げつけるとかするの、俺死ぬから。
中嶋 紫信
中嶋 紫信
スパイク打とうか?
なんならサーブでも良いけど??
神坂 白織
神坂 白織
あ、紫信ちゃん、用意出来たよ。
中嶋 紫信
中嶋 紫信
はっ、白織に助けられたな。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はいはい。
神坂 白織
神坂 白織
な、何の話…?
中嶋 紫信
中嶋 紫信
ん?白織の平和に関わる話。
神坂 白織
神坂 白織
私の…平和…??
伊藤 汰一
伊藤 汰一
分からなくて良いんだぞー。
終始会話の意味を理解できず首を傾げていた神坂であったが、


まぁすぐ中嶋と笑っていたし。


さて俺らも。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
おいバカロア。行くぞ。
馬場
馬場
待って等々ババロアでもなくなったの!?そろそろ訴えるよ!?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
わーったわーったババロア。
馬場
馬場
いやね!?戻せとかそう言う意味じゃないのよおにーさん!?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
ハイハイ。
必死に名前に戻せとうるさいが、


慣れちゃったからね。


もう当分、諦めて頂いて。




それから放課後。


各クラスの進み具合を何となく報告して、


実行委員は終わった。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
汰一!
伊藤 汰一
伊藤 汰一
おぉどうしたの夏音さんや。
湖谷 夏音
湖谷 夏音
結構前に貸した漫画覚えてる?
8巻なんだけど。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
あっ、ごめん、返し忘れてた!!
明日返す!!
湖谷 夏音
湖谷 夏音
別に読みたい訳じゃないけどふと気付いてさ(笑)んじゃよろしく。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
はいよ、また明日~。
つい勉強勉強で置きっぱなし。


まだどこにあるか見当がついていないし、


別に明日居なくなるわけでもない夏音だ。


余裕を持って明日渡すことにした。
神坂 白織
神坂 白織
…も、もう大丈夫?
少し怯えながら、壁から出てくる神坂。


確かにあいつ圧が強いから、


中嶋とはまた違う意味で怖がられるだろう。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
夏音のこと苦手?
神坂 白織
神坂 白織
いや!そういう訳じゃない…けど…。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
あそう?じゃ帰りましょ。
ジェスチャーまで付けて否定してくる…


ってことは、本当にそういうわけでも無さそう。


まぁ別に、詳しく聞こうとまでは思わない。
神坂 白織
神坂 白織
あっ、うん。ごめんね?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
何を謝る必要が。引き受けちゃったら面倒だけどやりますよ。
神坂 白織
神坂 白織
め、面倒…だったんだ…
伊藤 汰一
伊藤 汰一
えっ、そこ気にしちゃう?
伊藤 汰一
伊藤 汰一
大丈夫、俺が生きててやることほとんど面倒臭いし。
ペラッペラの俺の人生としては、


大抵動きたくないし、大抵面倒臭い。


どっかのお二人さんの依頼は、限りなく面倒だし、


ヤケクソでやってしまったところはある。
神坂 白織
神坂 白織
じゃあ、お手伝い出来るように、
頑張るね。
伊藤 汰一
伊藤 汰一
伊藤 汰一
伊藤 汰一
面白いねぇ~神坂は。
神坂 白織
神坂 白織
???
伊藤 汰一
伊藤 汰一
分からなくて良いんだよ。
普通なら、面倒臭いなんて聞いたら、


返事に困る筈なのに。


神坂は、面倒臭い=手伝うなのね。


しかも意気込むようにガッツポーズするなんて。






本当に、神坂白織と言う人間は、面白い。





果たして〝面白い〟という解釈であってるのかは、


分からないけれど。

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