絵の具を頬に付けたままの馬場が、神坂に聞いた。
その会話に耳を傾けた中嶋も、
神坂のピンをよーく見て頷いた。
中嶋は思ったことちゃんと言う分、
周りから怖がられやすいけど、
逆に言ってほしいと言う人間、つまり神坂には、
ピッタリな存在。
そう考えた俺の脳裏に浮かんだのは、
即答されて、俺は思わず頬が緩んだ。
足で俺の足に蹴りを入れる中嶋。
痛い痛い、元バレー部鍛えられていらっしゃる…。
そして今期一番落ち込む言葉。
とかふざけている瞬間だった。
俺のシャツの裾をぎゅっと握りしめて、
はっきりと、だが顔は床に向けて言った。
恐らく本人も爆弾発言をしたことを気付いていない。
だが聞いていた三人としては、
雷に撃たれた並の衝撃がほと走るという。
もう中嶋なんか三度見くらいしてたし。
今のは良いのだろうか??
というか皆が聞いていないかが心配すぎて見渡す俺。
俺が落ち着かせようとしたのも、
特に意味を為すことは無く。
本人も衝動的に言ったのか、
頭が混乱しているようだった。
そして何より、
まさか自分にヘルプが来るとは思わなかった中嶋が一番焦っていた。
ババロアに関しては、見ての通り放心状態である。
恐らく全て図星で、
止めをさされたかのように倒れこむ馬場。
それをクラスメイト数人が邪魔そうに見ていた。
ほんの少し、あの時に、
俺を必要だと、渡さないと言ってくれたことに、
何故かほっとしたような、安心感を抱いた。
だけれど、まだその正体が自分でも掴めず、
少しの疑問ともやもやが心の中に居座った。
これはもしかしたらアレなのでは…とはならず。
それは毎日現実的なことを考えていた故だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。