あなたside
『…………ねえ、君の口から聞きたいんだ。』
「………情報屋が話した通りなのに」
『それでも君から聞きたいよ』
私は妾の子として産まれた。
幼少期から母に虐待され
その度にお前はブスだと呪文のように言われ
私はブスだと何度も紙に書かされた
小学校中学校
次第に母は家に帰らなくなり
私は中学を卒業して
バイトをして生活費を稼いだ。
たまに帰ってきた母は金をくれと。
その度に言われた
あんたはブス。ずっと1人。
あんたがブスだから父親は私を捨てた。
我慢の限界で、私は母をやった。
『……………』
「……そんなことで。とか思ったでしょ?」
『…………ずっと我慢してたんだね』
「…………」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!