那須side
「……………、雄登はなんで私にキスできるの、」
『あなたが好きだから』
「私だって好きなのに……」
『……………俺がキスするのはあなたがいるか確かめるため、』
「確かめるため…?」
『そう。俺にとってあなたはめちゃくちゃ可愛くて、だけどある日突然いなくなるんじゃないかって思う時あんの。それでキスして確かめる』
「そっか……………私はね、」
『うん』
「私からキスをしたら雄登は消えちゃうんじゃないかって…」
『…………俺は消えないよ?絶対に』
「でも…………」
『消えないから。してみてよ、』
「………………………っ、」
さっきまであんなに苦労してたのに
目をつぶれば軽く触れるだけだのキスをされた
『…………ほらね?………なんで泣くの(笑)』
「雄登いる……………っ、」
『うん、いるよここに(笑)だから泣かないで、』
目から零れた滴を指でぬぐえば
泣き顔も可愛いなって思った瞬間。
数日後、また最初のくだりに戻ったけど。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!