深澤side
「先生は彼女には優しそうだよね」
それを最後に
彼女は振り向いて屋上の入口へ歩き出した
『………………俺、彼女いないよ』
「…………え?」
『彼女いない。むしろ君以外いらない』
「え、何言ってんの」
『……………はじめて君を見た時、一目惚れしたんだ、』
「……………………」
『だから君に会うためにここへ来るようなった。』
君を独り占めできるし
「…………先生なのに」
『…………先生と生徒だけど。その前に1人の人間さ』
「……いいこと言うね」
『まぁね』
「私も先生のこと好きだったよ。今日会えるかなーとか気にしてた。…………でもね、先生」
“私、明日しぬんだ“
『は………?』
今にも消えそうな笑顔で、彼女は確かにそう言った。
俺は呆然と立ち尽くして
彼女は屋上から去った
嘘だろ、からかってるよ
明日にはまた屋上にいる。
自分に言い聞かせるように。
でも彼女はいなかった
次の日も次の日も。
それを気に俺は教師を辞めた。
おわり
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。