*
🦁 《 ...電話来てるよ 》
『 あっ、うん 』
着信画面はやはりぐくだった。
画面を右にスワイプして電話に出る。
『 もしもs... 』
🐰 《 ねえ、また遅く帰るつもり? 》
『 ぐく...? 』
🐰 《 なに?帰りたくないの? 》
『 そういうわけじゃ... 』
🐰 《 そ、帰りたくないなら帰らなければいい。じゃ。 》
『 ぐく...! 』
私の声は届くことも無く電話を切られた。
🦁 《 ...ぐく? 》
『 うん 』
🦁 《 なんて言ってた 》
『 帰りたくないなら帰らなければいいって 』
🦁 《 ......どうする?帰る? 》
『 うん、今日は帰るね、ごめん 』
🦁 《 ん、無理すんなよ 》
てひょんの家から出て、家まで走って帰った。
『 っはぁ、はぁっ... 』
もちろん息切れはした。それより帰ったらまた怒られるんじゃないかって。しかもあの口調で。
『 ......ただいま 』
🐰 《 おそ。 》
『 ごめん、 』
『 っ、... 』
私は泣くことしか出来なかった。
🐰 《 なんで泣いてんの!? 》
予想外の言葉を言われたため、涙が引く。
『 だ、だって、ぐくが冷たいからッ... 』
🐰 《 え。 》
ぐくには私に冷たく接していたという自覚は無かったようだ。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!