第10話

正体
257
2020/10/03 12:41
心の声・・・天の声





















(コンコンッ)
乱「はいは〜い!いらっしゃい帝統!」
帝「おう、乱数。」
乱「さっ、はいってはいって〜!ほら!お菓子もいーっぱいあるよ〜!」
帝「菓子はいいんだが今日の目的、忘れてねえだろうな?」
乱「わかってるよ〜ん。幻太郎についてでしょ?」
帝「ああ。早く説明してくれ。」
乱「まあまあ〜焦らないで!ほら、お茶でも飲んで!」
帝「おう。サンキューな。」

帝統は乱数の用意したお茶を勢いよく飲み干す。いい飲みっぷりだ。

だが、それは今の場面では逆手になる。

乱「じゃーねー帝統!また後で〜」
帝「はあ?…おま…ぇ…何言って………。」

帝統は持っていたコップを落とし、そのまま気を失った。














暫く時間が経ち、帝統は椅子に座り拘束されていた。そして部屋は移動し、よくわからないものが入ったカプセルのようなものがずらりと並んだ部屋にいた。


乱「やあやあ目を醒ましたね帝統」
帝「なっ……ここはどこだ?!っつーかなんで縛ってんだ?!離せ〜!!」
乱「あーあー暴れないでよもぉ〜!せっかくしっかり結んだのに解けちゃうでしょー!」
帝「乱数お前なんでこんなこと?」
乱「うーん…まあ別にこんなことしなくてももいいんだけどぉ〜こっちの方が説明が楽だからかなっ♪」
帝「はあ?どういうことだよ…?」
乱「じゃ、今から説明するねっ!」
乱「簡単に言うとね、幻太郎は、僕が作ったのだ!!」


乱数はどうだというような態度で胸を張ってイキイキとした顔をしていた。

帝「………は?」
乱「だーかーらー!幻太郎は、僕が暇つぶしで作ったお人形!」
帝「何言ってんだよお前…」
乱「信じられない?でも帝統の目の前にあるものは全部今僕が育ててる人間のクローンだよ?」
帝「なっ…。」
乱「まあ、幻太郎はもともといい感じに人間に近づけられた成功作だったんだけどお、なんか最近帝統に対して恋愛感情を持つようになっちゃってさあ。そんで多分色んな感情が幻太郎の中でごっちゃごちゃになって、アウトオブコントロール状態になったってわけ!」
帝「アウトオブコントロール…?」
乱「簡単に言うと制御不可能かな?ま、幻太郎が急に倒れたのはそのせい。今修理中なんだ〜」




乱数は普通の世界では考えられないことを淡々と口にして述べる。流石に普通の人なら信じない、何を夢物語を語っているのだと思うくらいだろう。だが、帝統は違う。その場の光景が事実だと物語っているのだから。


帝「じゃあ…幻太郎は…」
乱「うん。帝統の想像通り、人間じゃない。そして一回壊れちゃった人形はなかなか直んないんだよねえ…もしかしたらもう一生幻太郎に会えないかもねっ♪」
帝「っ…!そんなっ…」
乱「幻太郎をこんなんにしたのは言っとくけど帝統のせいだからね?」
帝「俺の…せい…。俺のせいで…幻太郎は…幻太郎は…!!」
帝「うわあああああああああああああああ!!!!!!!!」




帝統は未だかつて誰も聞いたことがないであろう泣き声で大泣きしていた。それから1日、帝統は一切口を開かなかった。

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