いおりんは、自分は悪くないと思ってるみたい。
確かにいおりんは悪くないしあなたちゃんも悪くない。
その後もいおりんは説得することすら出来なかった。
俺の力不足ってやつかもしんねぇけどあなたちゃんもそーちゃんも結局会えずじまいなんだよな。
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いつも通り教室に入ってあなたちゃんに挨拶した。
昨日の事、気にしてるよな……
でも本人なんも言わねぇしどうしたらいいんだ?
ひとまず席に座る。
バックを机の横にかけてあなたちゃんの元へ向かう。
いつもみたいにいじわるな笑顔を見せてきて安心する。
俺もつられて笑う。
いおりんが突然近づいてくる。
いつもと違う、いおりん。
目は泳いでいて自信なさげな言葉。
多分緊張してるんだと思う。
大切な人を失って、大切な人を守りたい。
手からこぼれ落ちるほどの愛情を貰ったとしてもあなたちゃんは報われない。
胸が痛くなった。
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テレビ越しに見る逢坂さんはいつもにこにこ笑っている。
どうしてそんな風に振る舞えるのだろう。
彼の顔は自信に満ち溢れていた。
なぜそんなにも希望を持っていられるのだろう。
本当に兄にそっくりだ………
そう思いながらテレビを消す。
携帯が震える。
画面には逢坂壮五の文字。
誰かのイタズラかもしれない。
勝手に俺の携帯に登録したとか……
でもこの電話に出ればちゃんと話せるかもしれない。
出るマークを押す。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。