第5話
瞬きすら出来ない。
なんて、言葉をかければいいのか分からなかった。
あなたちゃんは笑っていたけど本当はもっと誰かに縋って泣きたいんだろうな……
昔の俺を見てる感じ。
誰かを頼ることが出来ないからいつも自分を守ってた。
いつかしかそれもなくなってしまうほどIDOLiSH7は俺を変えてくれたのかもしんねぇ。
あなたちゃんは、ようやく王様プリンを食べ始める。
ちゃんと、笑ってくれた。
それだけで今はいいや。
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「今日、あなたちゃん連れてくるから」
今日はオフだって伝えてはいたけれど……
急いで、着替える。
一応部屋も綺麗に片付けておく。
ドアがノックされた。
ナギくんが深刻そうな声で話してくる。
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帰りのHRが終わってあなたちゃんの元へ向かう。
もうすでにあなたちゃんの準備は終わっていた。
あなたちゃんを連れて、寮へと向かう。
いつもより道のりが長く感じる。
少しどころじゃないほどドキドキしてる。
一応、俺は芸能人というやつであなたちゃんは一般人。
特別に連れてきてやったとでもおもってんのか?
いおりんはIDOLiSH7の事をちゃんと考えてくれてる。
だから厳しい、そんなの分かってんよ。
その言葉を聞いたあなたちゃんは俺から遠ざかった。
聞かなくてもわかる。
”嫌だ”って。
手を握ろうとしたけどあなたちゃんには届かなかった。
遠ざかるあなたちゃんは俺を見向きもしなかった。
ため息をつく、いおりん。
凄く、凄くムカついた。
いおりんは正論すぎて言い返せなかった。
ひとまず、そーちゃんに謝ることにした。