第14話

突然の告白
1,477
2020/11/21 13:52
秋本 柚葉
秋本 柚葉
じゃあね、また明日
佐護 ひまり
佐護 ひまり
ゆず、またね!
部活を終えてゆずと別れると、ゆずの彼が校門のところで立っていた。
秋本 柚葉
秋本 柚葉
アキ! ごめん、結構待ってた?
ゆずが駆け寄ると、彼は開いていた参考書を閉じて、ゆずに笑いかける。
柚葉の彼氏
いや、そんなに待ってないよ。今日もしごかれてた?
秋本 柚葉
秋本 柚葉
まあね
二人は笑いながら駅に向かって歩き出した。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
いいなぁ……
二人の後ろ姿を見て、思わずつぶやく。
ここ最近、ずっとアラタと一緒に帰ってない。
テニス部は練習も多いし、別に毎日一緒に帰ってたわけじゃないけど、
週に一度くらいは、なんとなく一緒になることがあった。

朝練も毎日のようにあるし、アラタはギリギリのバスに乗るから顔を合わせることもない。
今年はクラスもちがうから、気がつくと一週間くらい顔を見ないこともある。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
(なんか、寂しいな……。
 アラタが読モなんてやってなければ、一緒に帰れたかもしれないのに)
小さな石をコツンと蹴ったら石はすぐに側溝に落ちて、よけいにへこんだ。
戸倉 翔太
戸倉 翔太
ひーまりん
後ろから聞こえてきた明るい声に、はっとして振り返る。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
戸倉くん
テニスラケットをかついだ戸倉くんが、私に駆け寄る。
戸倉 翔太
戸倉 翔太
ラッキー、一緒に帰ろーぜ!
戸倉くんが優しい笑顔を向けてくれた瞬間、
さっきの二股疑惑が頭によぎって、なんとなく戸倉くんと距離を取ってしまう。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
(また二人でいるところを見られたら、なに言われるかわからないよ)
佐護 ひまり
佐護 ひまり
えっとね、私、今日寄りたいところがあるし、一人で行こうかな?
やんわり断ったつもりだったけど、戸倉くんは、あきらめきれない様子で続けた。
戸倉 翔太
戸倉 翔太
今からどこに寄るの? 俺も行っていい?
佐護 ひまり
佐護 ひまり
いや、それは……
寄る所なんてなくて、つい歯切れが悪くなる。
戸倉 翔太
戸倉 翔太
井川もいないし、チャーンス! 
って思ったけど、そんなに俺と帰るの嫌なの?
佐護 ひまり
佐護 ひまり
嫌ってワケじゃないけど……
なんて言えばいいのか迷ってたけど、この際正直に話したほうがいいのかもしれない。
私は深呼吸をして覚悟を決めると、戸倉君にまっすぐに向き直った。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
実はね、私がアラタと戸倉くんを二股かけてるっていう噂があるって聞いたの。 
一緒に帰ったりすると、またありもしないことを言われそうで。
……戸倉くんだって、そういうの困るでしょ?
戸倉くんは私の言葉に目をパチクリさせてたけど、そのうち、おかしそうに笑い出した。
戸倉 翔太
戸倉 翔太
アハハッ、俺と井川の二股? 
なんだよ、それ! ウケる!
戸倉くんが大笑いしているのを、複雑な気持ちのままながめる。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
えっと、だからね、これ以上誤解を招くようなことは避けたいなと
戸倉 翔太
戸倉 翔太
あー、おもしろかった。
ふーん、でも確かにそれは気分悪いよな。
じゃあさ、俺たちつきあえばいいじゃん? 
カレカノなら文句ないんじゃないの?
佐護 ひまり
佐護 ひまり
……えっ?

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