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2021/01/19

第52話

番外編 アラタの物語 ~あの日、僕は~②
それにしても、こんなに長い付き合いだというのに、ひまりの好きな男のタイプは全くわからない。

しれっと聞いてもいいけど、自分と正反対のタイプだったらと思うと、怖くて聞けなかった。
井川 アラタ
井川 アラタ
(……っていうか、絶対に僕みたいな奴がひまりのタイプだとは思えない)
僕はこれといった取り柄もないし、女子からの唯一の褒め言葉は、カワイイと優しいくらいだ。

勉強はそこそこ、野球部でも特別活躍してるわけじゃない。
クラスでも、ごく普通な存在だ。
そんなさえない僕だけど、
今一番の悩みは、ひまりより背が低いことだ。
確実に、僕は男として見られてないだろう。

ひまりにとっては、世話のやける弟のような存在、といったところか。

けど、僕はそれでよしとする。
ひまりがそばにいてくれるなら、頼りない弟役だっていい。
井川 アラタ
井川 アラタ
(まあ、いつかは告白したいと思ってるけど……)
今の自分に、まったく自信がない。
井川 アラタ
井川 アラタ
(じゃあ、いつになったら言えるんだ?)
ひまりより背が高くなったら? 
野球部でレギュラーに入ったら? 
いい高校に入ったら?

いつか、堂々とひまりに告白できる日は来るんだろうか。
……そんな頃、ひまりにはもう彼氏がいるかもしれないのに。
井川 アラタ
井川 アラタ
(僕はひまりのそばで、ひまりが他の男に取られていくのを、黙って見ているだけなのか?)
せつなくなって、隣の席で寝ているひまりを見た。

試合の緊張から解放されたところに、連日のハードな練習の疲れが重なって、今は安らかに眠っている。
井川 アラタ
井川 アラタ
(今日の試合、ひまりが一番悔しかっただろうな)
負けず嫌いなひまりのことだから、すごく悔しかったはずだ。
ホントは泣きたかっただろう。
でも、ひまりは人前で絶対に泣かない。
井川 アラタ
井川 アラタ
(きっと、一人で泣くんだろうな)
ほんの数回、ひまりは僕の前で泣いたことがある。
すごく、うれしかった。
僕に心を開いてくれたんだから。
ひまりは、しっかりしているように見えても弱いところがあるし、ホントは寂しがり屋だ。
井川 アラタ
井川 アラタ
(……僕の前で泣けばいいのに)
ひまりの弱い部分も、僕ならすべて受け止めてあげるのに。