上から降ってきたアラタの言葉に、私は目を見開いた。
私ははっとして、アラタを見上げた。
アラタは穏やかな笑顔をして、愛しそうに私の頭を撫でてくれる。
あんなに読モをやめてほしかったはずなのに、いざアラタに言われても、全然嬉しくなかった。
キラキラした表情で、読モのお仕事のことを話すアラタを思い出して、私はきゅっと唇をかみしめた。
これ以上、私のワガママでアラタを縛っちゃいけない。
アラタを信じて、笑顔で送り出してあげないと。
私は、ぐっとアラタの胸を押して、アラタから離れる。
アラタは驚きながらも、ゆっくりとうなずいた。
けれど、アラタはまだ迷いのある瞳で私を見つめている。
その言葉に押されるように、アラタはポツポツと話し始めた。
うれしそうに話すアラタの姿を見て、
やっと私の中でなにかが吹っ切れた。
私はうなずくと、アラタをまっすぐに見て言った。
認めたくなくて、最後の方は小さな声になってしまったけど。
私の言葉に、アラタの顔がぱっと輝いた。
悔しいけど、読モのアラタはかっこいい。
幼なじみのひいき目だけでなく、どんどんかっこよくなっていくのが、写真越しにでもわかる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。