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2021/01/16

第49話

アラタの秘密
一人で落ち込んでいると、隣のアラタがぼそっとつぶやいた。
井川 アラタ
井川 アラタ
それは……、ちがう
佐護 ひまり
佐護 ひまり
え?
井川 アラタ
井川 アラタ
ひまりのファーストキスは、
戸倉じゃない
佐護 ひまり
佐護 ひまり
……どういうこと?
言っている意味がよくわからなくて、じっと見つめると、アラタはためらいながら続けた。
井川 アラタ
井川 アラタ
この話をしたら……、
ひまりに軽蔑どころか、嫌われるかもしれないけど
私が首をかしげていると、
アラタはバツが悪そうに小さな声で言った。
井川 アラタ
井川 アラタ
……実は、
昔、ひまりにキスしたことがある
佐護 ひまり
佐護 ひまり
…………え??
はじめ、何を言われたのかわからなかったけど。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
(私にキスしたことがあるって……)
佐護 ひまり
佐護 ひまり
ええええっ!? うそ?
あまりにビックリしすぎて叫んでしまった。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
いつ? 
それって、いつのこと?
井川 アラタ
井川 アラタ
……中二のとき
アラタは顔を赤くしながら、ぽつぽつと答えた。
井川 アラタ
井川 アラタ
ひまりが全国大会一歩手前で負けた、あの試合の日。
帰りの車で……
佐護 ひまり
佐護 ひまり
ちょ、ちょっと待って!
私、全然記憶にないんだけど!?
井川 アラタ
井川 アラタ
……あの日、ひまりは疲れて寝てたから
佐護 ひまり
佐護 ひまり
寝てたって……
すぐに思考が追いつかなくて、パニックになっている私に、
アラタは手を合わせて頭を下げた。
井川 アラタ
井川 アラタ
今さら謝っても、許してもらえないかもしれないけど……
ホントにごめん!
井川 アラタ
井川 アラタ
あのとき……、
僕のそばで寝ているひまりを見ていたら、気持ちが抑えられなかった
佐護 ひまり
佐護 ひまり
アラタの想いが伝わってきて、私までドキドキしてくる。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
……じゃあ、私のファーストキスは、アラタなの?
震える声で尋ねると、アラタは私をまっすぐに見てうなずいた。
井川 アラタ
井川 アラタ
そうだよ
アラタの真剣な眼差しに、胸が熱くなる。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
(そんな頃から、アラタは私のことを好きでいてくれたの?)
……寝ている私に、キスしたいと思うほどに。
井川 アラタ
井川 アラタ
でも、そのあと、すごく後悔した。
こんなのフェアじゃないし、
ひまりがかわいそうだって
佐護 ひまり
佐護 ひまり
アラタ……
井川 アラタ
井川 アラタ
だから、このことは、一生言わないつもりだったんだ
井川 アラタ
井川 アラタ
いつかひまりに好きな人ができて、キスをしたとき、それが初めてのキスだと思ってくれればいいって、
……そう思ってた
井川 アラタ
井川 アラタ
だけど、やっぱりひまりが初めてのキスを戸倉としたと思ってるのは、嫌だから
佐護 ひまり
佐護 ひまり
あ……
アラタは話し終えると、長いため息をついた。
私はただアラタの話を黙って聞いていたけれど、
井川 アラタ
井川 アラタ
……ひまり、怒ってる?
アラタは、私の顔色をうかがうように尋ねた。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
怒ってるっていうか……
佐護 ひまり
佐護 ひまり
……でも、これまでずっと秘密にしてたのは、ひどいよね
井川 アラタ
井川 アラタ
……だよね。
ひまりが怒るのは、当然だよ
アラタは申し訳なさそうに、下を向いた。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
初めてのキスがアラタだったなんて、すごく、すごくうれしかったのに
佐護 ひまり
佐護 ひまり
私だけずっと知らなかったなんて、ひどいよ!
井川 アラタ
井川 アラタ
え?

アラタは拍子抜けして、私をぽかんと見つめた。
井川 アラタ
井川 アラタ
うれしいって、……ホントに?
佐護 ひまり
佐護 ひまり
大好きな人にキスされたら、
……うれしいにきまってるでしょ?
井川 アラタ
井川 アラタ
ひまり!
アラタは笑顔になって、私を抱き寄せた。