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2021/01/20

第53話

番外編 アラタの物語 ~あの日、僕は~③
ひまりの母
さぁ、ちょっと休憩しましょ
気づけば、サービスエリアの駐車場に着いていた。
井川 アラタ
井川 アラタ
ひまり、サービスエリアで休憩だって
そう言って、ひまりの肩を軽く揺すったけど、全く起きる気配がない。
井川 アラタ
井川 アラタ
(こんなによく寝てるのに、起こすのもかわいそうだな)
井川 アラタ
井川 アラタ
母さん、ひまりが起きないから、行ってきていいよ。
僕、車で待ってるから
アラタのお母さん
そうね、ひまりちゃん疲れただろうし、起こしたらかわいそうね
アラタのお母さん
じゃ、少し待ってて。
お土産も買ってくるから
井川 アラタ
井川 アラタ
わかった
そうして、車内は僕たち二人だけになった。
静かな車内で、ひまりは規則的な寝息をたてて、よく寝入っている。

僕は誰の目も気にすることなく、横で寝ているひまりをじっと見つめた。
井川 アラタ
井川 アラタ
(最近ひまりは、ますますキレイになった気がする)
白い肌はテニス部の練習で、ほどよく日に焼けている。
いつもは凛とした雰囲気のある瞳は、今は安らかに閉じられている。
ピンク色の柔らかそうな唇が、うっすらと開いているのを見ていたら、急にどぎまぎしてきた。
井川 アラタ
井川 アラタ
(……ダメだ、変なことを考えそうになる)
あわててひまりから目をそらして前を向いた。

ドキドキしながら、もう一度ひまりを見ると、ひまりの目の端には、うっすらと涙がにじんでいた。
井川 アラタ
井川 アラタ
あ……
やっぱり、ひまりは泣きたかったんだろうか。

僕はそっとひまりの目の端をぬぐうと、
かすかに指が濡れた。
井川 アラタ
井川 アラタ
……僕の前で泣けばいいのに
ひとりごとのようにつぶやくと、
佐護 ひまり
佐護 ひまり
うーん……
いきなりひまりがこっちに寝返って、
僕の肩にもたれかかった。
井川 アラタ
井川 アラタ
えっ!?  ひまり?
すぐそこにひまりの頭があって、長い髪の毛が僕の腕に触れる。

突然のことに、一人でドキドキしている僕をよそに、ひまりは僕にもたれかかって気持ちよさそうに寝続けている。
ひまりとはよく一緒にいるけど、こんなに近い距離で触れ合うことはない。

僕の心臓は激しく鳴り響いて、ひまりにも聞こえないかと心配になるほどだ。

肩のあたりから、シャンプーと汗の香りが混じったひまりの匂いがして、胸が甘く疼いた。
井川 アラタ
井川 アラタ
(……これも、幼ななじみの特権だな)
偶然とはいえ、あまりにうれしい展開に、
僕はひとりで舞い上がった。
井川 アラタ
井川 アラタ
(父さん母さん、あの家に引っ越してくれて、ありがとう)
僕は一人、この偶然に感謝していた。