第26話

お昼休み
1,328
2020/12/22 10:00
次の日。
お弁当の時間になって、やっとゆずと美桜に昨日のできごとを話すことができた。
二人はじっと私の話を聞いていたけど、
秋本 柚葉
秋本 柚葉
……なるほどね。
今日の朝練、ひまがひどい顔して来たのは、そういうことか
ゆずはパックのグリーンスムージーを、すずっと飲みほした。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
すごい顔……だったよね。きっと
ゆずの言葉に、私は力なく笑った。

あのあと一晩中泣いて、今日の朝練は真っ赤に腫れたまぶたで出る羽目になった。

ホントは休みたかったけど、もうすぐ大会もあるし、とりあえず練習だけは行った。
中野 美桜
中野 美桜
ゆずってば、それはないよぉ。
あの井川くんにそんなこと言われたら、ひまりだって相当ショックだよ~
秋本 柚葉
秋本 柚葉
ごめんごめん。
いつも身だしなみは完璧なひまが、すごい顔して来たからさ。
恋は人を狂わすんだなと思って
中野 美桜
中野 美桜
もう、今はそんなことよりも!
ひまり、私がまず聞きたいのはね、井川くんが言ってたやりきりたいことって、一体何なの?
美桜がにじり寄って問いかける。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
それね……、私も昨日からずっと考えてるけど、よくわからないんだ。
たぶん、読モに関することだと思う
秋本 柚葉
秋本 柚葉
だろうね。
テストは終わったばっかりだし、井川は部活もやってないし
すると、美桜はさらにいらだちを募らせて続けた。
中野 美桜
中野 美桜
あと、しばらく会わないっていうけどさ、……いつまでなの?
佐護 ひまり
佐護 ひまり
それもわかんないんだ……。
昨日はもう会わないってアラタに言われて、いっぱいいっぱいになっちゃって。
詳しいことを聞かないまま、アラタは行っちゃったから
そう。
今思えば、あのときアラタにちゃんと聞けばよかったんだ。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
けど、しばらく会わないって言われちゃったし、今さら確かめることもできなくて
中野 美桜
中野 美桜
なにそれ……。
一方的に決めて、ひどいよ。
けど、それって井川くんが勝手に言ってるだけでしょ? 
そんなの無視して、ひまりから会いに行っちゃえばいいんじゃないの?
美桜はぷうっとほっぺをふくらませる。
私の代わりに怒ってくれたのがうれしくて、少し心が軽くなる。
佐護 ひまり
佐護 ひまり
美桜、ありがとう。
でも、ああみえてアラタはガンコだから、一度決めたことは誰がなんと言おうとやり通すよ。
だからね、私からは会わないでおこうと思ってる
中野 美桜
中野 美桜
でも……
それでも納得いかない美桜に、ゆずが肩をたたいて言った。
秋本 柚葉
秋本 柚葉
美桜、長年いっしょにいた二人のことに、私たちが口をはさむべきじゃないよ
中野 美桜
中野 美桜
ゆずってば、発言がおばちゃんっぽい!
秋本 柚葉
秋本 柚葉
悪かったね、中身はオバさんで。
年の離れた既婚者の姉がいれば、こんなもんだよ
佐護 ひまり
佐護 ひまり
え、そうだったの?
初めて知る、ゆずのお姉さんの話で盛り上がっていると、
中野 美桜
中野 美桜
あっ!
スマホをいじっていた美桜が、急に大きな声を上げて、スマホの画面をこっちに向けた。
中野 美桜
中野 美桜
ちょっと二人とも、見て! 
これじゃない? 
井川くんの言ってたことって……
佐護 ひまり
佐護 ひまり
えっ!?
私たちは、美桜のスマホに顔を寄せた。

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