馬車の中は兄と向かい合わせで座っていた
気まずい...
いろいろ聞きたいことがあるのに
どうやって話を切り出そう
あなたはうつむき気味にそんなことを考えていた
あれ...
兄に向かって敬語は変だったかな?
ぎこちない会話が原因なのか
兄は笑った
本当に私の兄なのかな?
私と全然似ていない
しばらく馬車に揺られていると
吐き気がして来た
兄は薬をあなたに差し出した
あなたは薬を飲むと隣に兄が座ってきた
そう言ってあなたの肩に手を回した
あなたは言われるまま兄の肩にもたれた
気分が悪く他に考えることもできず
目を閉じた
目が覚めるとあなたは兄の肩に
もたれたままだった
彼も寝ていたが兄の身体から離れると目が合った
あなたの顔を見て優しく微笑んだ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。