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2021/05/25

第1話

プロローグ


最近、雨の日が続いている



季節は本格的な梅雨の時期に入ろうとしていた


気がつくと満開だった桜の木は青々として


新緑の葉が生い茂り雨に濡れて


より一層、鮮やかさを際立たせている。





仕事から帰る道中


自ら運転する車の中から見えた景色。


信号が黄色から赤に変わり


ブレーキを踏んでゆっくり止まると同時に


目に入ってきたのだった。


幾度となくガラスに付く水滴は


水玉模様を作り視界を遮る。



雨がしとしと振る中、少し埃っぽい土のような


香りと草の青さが混ざったような香りが


鼻の奥で微かに感じた


雨が降るといつもこの香りがする。


私は以前に見たであろう


目の前に広がる景色とは全く違う光景が


一瞬でフラッシュバックした。




そこは、ほのかに灰色がかった空から


雨がしとしとと降っている。


池の上には葉や花が咲いていて


雨粒が立て続けに円形の波紋を


水面に広げている。


雨によってさらにみずみずしく


花や葉の色が際立って見えた。


その池の上に建つように回廊、


もしくは渡り廊下のような建物が立っている。


屋根付きの橋に鮮やかな朱色の柱と梁が


池に揺らめきながら反射して


なんとも言えぬ幻想的な世界が広がっている。



ここはどこだろう...


雨の降る音だけが響く



突然、視線を感じた



視線の先に目を向けるとさっきまでと


違う場所に私はいた


さっきよりも高い建物にいて


向こう岸の回廊に


着物に近い民族衣装を纏った姿が見える


薄い色彩の配色で刺繍入りの羽織りを着ている


丈の長い袖ですっぽり覆った手は口元を隠し


朱色の柱の影からこちらを見て


微笑んでいるかのようだった。


髪の毛は長く、凛とした眉毛にキリッとした


目付き、涼しそうな顔立ちをしている


綺麗な女性だなと思った。


その光景と微笑みを見て


どこか懐かしさと寂しさを感じた。



ふと我に帰り、一瞬目眩のような感覚に襲われた


タイミング良く信号が赤から青に変わり


私は車を発信させた。



今フラッシュバッグした光景はなんだったんだろう...



夢を見ていたかのような曖昧になる記憶とともに


運転をするなか次々と目の前の景色が


変わる中で意識はそれて


家へ着く頃にはとうに忘れていた。





その日の夜はまだ雨が音を立てて降っていた。


私はベットに入り電気を消して寝る体勢に入った。



窓の外からの雨音は心地よく聞こえてくる



ふいに鼻の奥で



雨が降るときのあの独特の香りが



微かに蘇った



同時に今日の仕事帰りの運転中に起きた


フラッシュバッグの様な光景を思い出した。



あの場所はどこなんだろう?

そもそも日本なのか...

でもあんな場所行ったこともない。

しかもあの女性は誰...?

私のことを知っているの?


でもどこかで見たことがあるような...



初対面とは思えなかった。



ーーーそんなことを考えながら


私はいつのまにか眠っていた