高校一年生、始業式。待ちに待った高校生活が始まる。
"高校の三年間なんて短いの。大切にしないとダメよ。"
私が中学三年生の時に他界したお母さんの言葉。
"私は、かけがえのない人に出会えたから。"
あの先輩の言葉も響く。
[えー、それでは最初に、二学期から休職されていたキム・テヒョン先生ですが、今年度からまたこの学校で働いてもらうことになりました。]
その言葉に、二年生と三年生が雄叫びをあげながら叫ぶ。
…そんなにいい先生だったの?
その先生が壇上に上がれば、歓声はさらに大きくなる。
「皆さんお久しぶりです。また戻ることができて嬉しいです。それともう一つ、今日から数学科に新しい先生が入られることになったので紹介します。」
すると、隣の女の子が話しかけてくる。
〈ね、知ってる?キム先生が休職してたのって、生徒と付き合ってるのバレたからなんだって。〉
『…え、そうなの?』
そういった瞬間、またすごい歓声があがるから驚いて壇上を見れば、周りの音が遮断されて、胸が大きくはねた。
「今日から一年生の数学でお世話になります、チョン・ジョングクです。」
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!