それから気づけば40分も経っていた
まずい。よく話しているメイド友達の子から聞いたけど、あそこのご令嬢さんは小さなことでイラッとするらしい……それだったらだいぶ時間が過ぎている今の状況に腹が立っているのでは……………うう…まずい…
ふふ……全く乱暴じゃなくて優しく手を引っ張ってくれてる…いつの間にそんなイケメンに育ったんや…←
…………正直私もちょっと心細かったりして…?
○○○○○○○○○○○○○○○○
いや、ご令嬢さんのお家デカすぎ……
さとみ様のお家も結構大きい方だけど、その2倍ぐらい大きい……敷地ひっろ……
キィ…(扉を開く)
執事『…!!来られたぞ…!!』
執事2『…!お嬢様呼んでき』
令嬢『もう来たわよ』
煌びやかな紫色に近いピンクのドレスを着て、きらきらとした化粧をした、少し悪女顔をした綺麗な女性が現れた。
きっとこの女性が例のご令嬢さんだろう…
令嬢『んもう…私ずぅっと待ってたんですからね…?(さとみくんの腕に腕を絡ませる)』
さとみ様慣れてるなあ……いつも他のメイドに絡まれてるからかな…←
でも良かった…さとみ様がご令嬢さんの腕を引き剥がして…普通に胸押し付けてたからちょっとやだったから……
令嬢『もう…腕なんで離すんですか…!……まあ良いです。少ししたら結婚して毎日こうしてイチャつけますしね?んふ…考えただけでも照れちゃいます…』
……!さとみ様…頑張って…!自分の気持ちを自分の言葉でしっかり言ってくださいね…!
もし…私を選ばなくても、応援しますから。
令嬢『んん?なんでしょうか?』
令嬢『はあ?』
令嬢『……………も、しかしてそこのメイド?』
令嬢『私がそこのメイドごときに負けてるっていうの…??』
うう…さとみ様……
令嬢『そんな召使いを好きになるなんてさとみ様の趣味を疑いますわ!そんな変な人との婚約なんてこちらからお断りしますわ!!』
令嬢『……ううっ!もう!ほんとにうざ!』
令嬢『(あなたに近づいていく)』
え、え、え?
令嬢『召使いごときが私の邪魔をしないでほしいわ。図々しい(あなたにぶつかっていく)』
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まぁた身分の違いが目に見えちゃって……
そう。忘れかけてたけどさとみ様は遠い存在。私なんかに構ってくださる優しいお方…
なんだか自分が惨めに思えた。
やっぱりさとみ様には隠し事出来ないや
いつかきっと堂々と幸せになるの。不安なんて忘れちゃうくらい。
きっと、いや、絶対にあなたとなら幸せになれる。いつかくるその日を夢見て_____
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。