第57話

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2022/01/15 13:15
清「無理やった…」

重い口を開く


きょうやは俺を睨みつけて

匡「ダメって言ったのに」

半ば諦めに似た口調


匡「俺にはキスだけだったのに、あの子だと我慢出来なくなるの?」

清「言ったやん…どうしても取られたくないって」

匡「何がそんなにいいの?幼馴染って言ってたくせに」

そんなの、言葉では伝えられない



匡「あの時俺はどうすれば良かったの…」

顔を伏せてしまう

清「…ごめん」


沈黙が痛いけれど耐えなければならない


匡「…1度あの子と話をさせてよ」

清「あいつ関係ないやん」

匡「関係なくはないよ、話出来たらもう終わりでいいから」

清「…何を話すん?」

まさかとは思うけど、脅すようなことを言われたらと思うと心配だ

匡「きよがどんな人好きになったのか…知りたいだけ」





小「いいよ」

清「え…嫌やろ?あいつと話すの」

帰るなり『どうだった?』と心配そうな顔をして、今も俺の膝の上にいるこたにすんなり承諾されて戸惑う

こたが嫌がったら無し、と言っておいたのに…


小「だって、ちゃんとしたいもん」

俺が悪いのに、こたにこんな事を言わせてる

清「ごめん…」

謝ってばかりの俺は目の前のこたの額に自分の額をコツンと合わせる

小「きよちゃん、今ご褒美ちょうだい!」

申し訳なさそうにする俺にニコッと笑う

清「先払いなん笑?ええよ、何欲しい?」

無邪気に喋ってたくせに


小「えっとぉ…」

モジモジしたかと思うと、身体をさらに俺へ寄せてきて

下半身を密着させてくる

清「ほら、言わんと」

理解してニヤけそうなのを堪えて平静を装う


小「ムズムズするんだもん…」

清「どこが?」

早く言ってや


それを楽しみにしてると

腰を動かすような動作をしてくる

小「お尻っ…」


恥ずかしそうにエロい仕草をするのが刺さって

清「それもう1回やって」

やだよぉ、と言うこたに無理矢理させる


慣れない腰使いが妙にエロくて下半身が疼く

こたの腰を掴んで下から腰を振り、こたの下半身を擦る

小「ふ、あっ…んっ…」

首に手を回して、こたも俺の上で不器用に腰を振る



コンコン

慶「入るよー?」

市川くんの声が聞こえて咄嗟にこたの腰を押しやるけど

えっ…?



慶「…何やってんの」

清「あ…」

市川くんがドアを開けた時、こたはぎゅっと俺の首を掴んで離さなかった

当然膝の上で抱きついた状態だ


清「や、こたが離れんから…」

つい、こたを悪者にしてしまう

慶「…付き合ったんだろ、聞いたよ」

そう言って今度の雑誌撮影時に必要なアンケート用紙を俺に2枚渡す


慶「そんなしがみつかなくても何もしないよ?」

市川くんがこたに話しかけると

小「違うよ、きよちゃんが落とすから」

慶「こいつそんな乱暴な事すんの?」

え、ちょっと!

清「ちゃうよ、気ぃ遣ってるの!」

市川くんは笑って出ていった





(こた)

待ち合わせの場所に着くなり

匡「…なんできよも連れてきてんの」

不服そうに言われてしまう


清「送ってきただけやで」

きよちゃんがそう言ってくれたけど

ほんと甘ったれだな、と呟かれたのをはっきり聞いてしまう



カフェに入っても落ち着かない

匡「コーヒーでいい?」

小「あ、甘いやつで…カフェオレ…」

沈黙は嫌だなと思ってたけど、向こうは気にすることなく喋り続けてくる

匡「17なんだって?若いとは思ったけど、年聞くとちょっとびっくりするよね」

小「はい…」


僕の顔をじっと見たかと思うと

匡「まぁ…顔は可愛いよね」

小「え、ほんとですか?」

褒められるとは思っていなくて、えへへと笑う


匡「…脳みそなさそう」

小「…あります」

やっぱり意地悪だ…


匡「いい匂いって言った香水、突然止めてって言われたんだけど君の仕業?」

小「仕業って…嫌とは言いましたけど」

きよちゃん、止めてって言ったんだ…


匡「きよって、小さい頃はどんな感じだったの?」

小「え?…あ、えっと、多分今とあまり変わってないと思います」

小「頼りになるし優しいし…」

匡「その優しさにつけ込んで甘えてたんだ?」

小「…そう、ですかね」

つけ込んでたかは分からないけど、我儘いって甘えてたのは事実だから


匡「きよは勘違いしてるんじゃないかな?幼馴染の好きと」

小「…きよちゃんの気持ちはきよちゃんに聞いて下さい」

少し小さな声になってしまう


匡「どうせ君がガキのくせに昔から身体で誘惑してたんでしょ?」

小「そっ、そんな事してないよ、僕中学生だよっ、あの時襲ってきたのきよちゃんだしっ」


匡「…え?」


小「あ…」

やば、どうしよ…


匡「何それ」

小「いや、冗談ですっ」

匡「中学生の君をきよが襲ったの?」

小「襲ってませんっ、何もないです、本当に!」

必死に否定したのに、きょうやさんは多分きよちゃんに連絡し始めた

きよちゃんに怒られるっ…





清「終わったん?」

5分できよちゃんは店に入ってきた

匡「早かったね、心配して待ってたんだ?」


匡「ね、この子が昔きよに襲われたって言ってるけどホントなの?」


あぁ、言っちゃった…

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