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2022/01/12

第54話

あの日のこと
こたから夜に話がしたいと言われた

…市川くんの事か


この前は熱があるのに泣きながらそんな話をしようとしたから止めた

すぐに終わる話とも思えなかったし、急に言われて心構えが出来てなかったから


あの後こたのベッドで初めて寝たけど、そこにこたが居るような感覚で暫く眠れなかった

…こたの匂いがする


気づいてないフリをしてたけど、翌日こたがそっとシーツを洗濯していたのを知っている

ここで、と思うと嫌な気分になるけど

少なくともこのシーツにはこたの匂いしかしない


さっきの俺を見つめる潤んだ瞳は

キスして欲しそうにしか見えなかった

でもこたは市川くんと…

そんな事を考えると益々眠れなくなった





レッスン場を出て驚いた

昨日会ったはずのきょうやがガードレールにもたれて居たから


清「え、どしたん?」

きょうやに駆け寄って小さな声で話しかける

…こたが後ろにいるのになぁ

そう思ってると


匡「あの子刺しちゃおっかな、って」

向こうを見ながら耳元で言う

…は?

それがこたの事だと理解し、無言できょうやのトートバックに手を突っ込んで覗き込む


匡「ちょっと、冗談だって、怖いなー」

何も入ってないから、と笑うきょうやを睨みつける

清「お前ふざけすぎ」

大きな声が出そうなのを必死に耐えて、小さな声で話した


匡「誕生日には会ってね、って言ってたのに忘れてるからじゃん」

清「…」

匡「昨日何か言ってくれるかと思ったのに相変わらずあの子の話だし」

確かにすっかり忘れてたけど、それにしても冗談で言うことか?





清「はい…誕生日おめでとう」

祝ってるとも思えない口調になった

匡「嬉しいけど…もうちょっと笑ってよ」

俺がずっと無言で怒ってるからさすがに冗談が過ぎたと思ったのか、少し遠慮気味にそう言うけど

清「そういう気分やない、今日はもう帰るから」


これから俺はもっと辛い話を聞かなきゃいけないのに…

そう思うと優しくなんて出来なかった

割り切って期間中を過ごすしかないと思っていたけど、色んな感情が溢れて想像以上に上手く出来ない

きょうやと会った後は、無性にこたにくっつきたくなるし…





急いで家に帰ると、こたはベッドに居た

降りて来ないのか聞いても、そこに居てと言われる

市川くんの話かと思ったら、きょうやと会った事について聞かれた

…それ言われると市川くんの話を聞いても何も言えなくなるやん

そう思ってた筈なのに


やっぱり悔しくて悲しくて

今更みっともないと思ったけど


…初めては俺にくれるって言ったやん


その気持ちが消えなくて



清「こたは初めてを他のやつにあげてるし…ほんま気が狂いそう…」

自分の立場も忘れて頭を抱えながら本音を伝えた


ガタッと音がして頭上から

小「きよちゃんっ」

きっと柵から頭を出してこっちを見てるんだろう

顔上げられへんよ、今は…



小「僕の初めてはきよちゃんだよ!?」

…何の話?


小「市川くんとえっちな事しちゃったけど、そこまではしてないよ!?」



清「は?…えっ?」

気づくと立ち上がって、こたを見上げていた

ほんまに?

清「…最後までしてへんの?」

小「最後って、挿入るって意味?それはしてないよ」


ポカンとこたを見つめた後、力が抜けて梯子に寄りかかってしまう

清「なんや…してへんのか…そうなんや…」

小「でもっ…あの、僕、ここで1人でしてて」

清「うん」

もう何でもええよ…

してへんのやったら、それでいい…


小「見られちゃって…それで…市川くんが手伝うって」

小「ごめんっ、我慢すれば良かったって後からすごく思ったんだけど、その時はもうイキそうだったのに、って状態で我慢出来なくて…」


清「こた、こっち来て…」

目に涙を溜めているこたの手を取る

こたは勢いよく梯子から降りて飛びついてきた

小「きよちゃん!」


こたを抱きしめる

清「…ほんまに嫉妬でどうにかなりそうやった」

小「うん…」

清「こたがおらんとあかんねん…俺の好きの意味、分かるやろ…?」

小「うんっ、僕もきよちゃんが大好き!」

こたの瞳から溜まっていた涙が零れる

真っ直ぐな気持ちがすごく嬉しい


清「今すごい中途半端でごめん…あいつにもう無理って言ってるんやけど…」

いい加減な終わり方をしないよう、きょうやに納得してもらえたら1番良いと思って…最近はその説得だけに会いに行っていた

でも…

もう…




ぎゅっと強くこたを抱きしめて

耳元で囁く



清「もう我慢できひん…こたの全部が欲しい」

清「今日、抱いていい?」



小「僕もっ、大人しく待てなくてごめんね?待っていようと思ったんだけど…やっぱり僕も我慢できないよ」

小「きよちゃんのものになりたい…」


目が合って、見つめ合って…

こたの柔らかい唇に自分を重ねる

こんなに誰かを愛おしいと思ったことはない

ゆっくりとその唇を味わった



清「…まだ時間早いから」

小「うん…」

俺に抱きつきながら、恥ずかしそうに俯く姿が本当に可愛くて


清「大好き…」

小さな声だったけど、自然と言葉が出ていた



夜中になったら…

その約束だけで嬉しくて幸せだ