(Telephone 大音量)
『んん、、うるさぁいっっ』
大音量で鳴る目覚まし時計を止め、
今日から始まる学校に行くため、準備をする
少し早く出て、車を学校近くの河川敷に止める
ここが俺のお気に入りのところ。
高校時代、よく樹たちと来た。
ここで、"彼"と出会った。
『元気にしてっかな〜………』
あいつは今年で高3になるのか、
『今年は無事満開、と。』
スマホのメモ帳に写真を張り、文を書く。
高校1年のときから、毎年つけてる観察メモ
去年は色々あって見にこれなかったから、
ずっと心配だった。
そうすると、少し人が見えた。
よく見てみると、それはずっと焦がれてきた"彼"
『京本………?』
そう口に出して、ハッとした。
今年から、俺はもう彼の学校の教師だ。
もう、他人として接した方がいいのだろう。
弾け出している想いに気付かぬふりをして、
俺はその場を立ち去り、車で学校に向かった。
彼がこちらを見ているのに、気付かずに。
そして、俺を撮っていたことに、気づかずに__。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。