第4話

車の中で
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2020/01/24 16:01
だめだ

こいつ

なに考えてるかほんとにわかんない



さっきからニジョウは

私を膝の上にかかえたまま下ろそうともしない


私が勝手におりようとすると

腰に回された手にグッと力が入る



…なんなの


柑奈
はやく下ろして
龍桜
車から?それとも俺の膝の上?
柑奈
どっちも
龍桜
じゃあおまえが名前教えてくれたら
膝の上からは解放してやるよ

意味がわからない

何でこんなやつなんかに
柑奈
…ならいい
龍桜
なんで?

…なんではこっちの台詞だ


私はただのおもちゃ。

名前なんて知って、どうするっていうの



お遊びに私の名前なんて

必要ないだろうに



…まぁ、しつこく聞いてくるくらいなら

適当に作って流してしまえばいいか
柑奈
なんでも
龍桜
そ、 ならいい
柑奈
えっ…

あっけらかんとニジョウが放つ言葉に

思わず驚きの声が口から漏れる



…こんなにあっさり引き下がるものなの?


龍桜
なに?
柑奈
別に
龍桜
もっと食い下がって来ると思った?
柑奈
 
…そりゃあ、聞いたからには

それなりに答えが返ってこないと不服でしょうが



さっき少し笑ったときとは別人のような

鋭く冷たい眼差しは私を少しとらえた後

すぐにフロントガラスの方へ移されてしまう

龍桜
…別に言いたくないなら無理には聞かない
ただ呼び名が欲しかっただけ
何ならじぶんで作ってくれても構わないし
柑奈
…っ
自分の心を読まれたような発言に

一瞬びくりとしてしまう


龍桜
柑奈
龍桜
外してなかったな
今はずす
柑奈
え、ちょっ、ちょっと待って
龍桜


え、まってまって

何?

鎖をはずす?



なに考えてるのこの人



おもちゃなんて繋がれてる方が

扱いやすいに決まってるのに



この人の思考が読めない


明らかに動揺して、

鎖をはずそうとしたニジョウの手を止めると

不服そうな顔でこちらを睨まれる
柑奈
なんではずすの

しばらくの間、お互いの視線がぶつかる


先に目をそらしたのはニジョウの方だった

視線を鎖に繋がれた私の手足に戻し

鎖を外しにかかる
柑奈
えっ…だから…っ!
龍桜
…おれは"そういう"つもりで
お前を買ったんじゃない
柑奈
なら、何の目的で…


わたしを"買った"の



龍桜
お前には













龍桜
俺の屋鋪の召使いになってもらう

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