レイナは帰ろうとしていてみんなに見送られている。
「すみません。もう少しいたいのですがもう帰らなくてはいけないので」
「ありがとうございます。助かりました。みんなの手当までして頂いて・・・」
「いいえ、みなさんの怪我も大したことなくて本当に良かったです」
「レイナ・・・あのさ」
ヨシは遠慮がちに、口を開く。
「えーっと・・・また、会えるかな」
(ヨシさんってば、そこはまた会いたいなとか言えばいいのに)
(彼はそんなこと言わないだろ)
後ろではコソコソ話している。
「えぇ、会えるわよきっと」
「あー!そうだ。前から聞きたかったんですが、レイナさんには好きな方とかいますか?」
ストレート過ぎる質問をしたのはゴウだ。
「えっ?」
そんな率直な質問に
「バカっ」
と、ヨシは思わず言ったが・・・
「えぇ、いますよ」
「えっ?」
「えっ?」
そのレイナの即答に・・・・
「えっ?マジで?」
「では、私はこれで」
それ以上何も言わずに去っていくレイナと
「・・・・・・・」
ヨシは、言葉にならないほど驚いていて・・・・。
だが、その顔を可笑しそうに見ているゴウと、
「よ、ヨシさん、大丈夫?」
心配する4人だった。
「・・・いや、大丈夫だ」
(レイナに好きな人・・・・)
なんだ?この胸の痛さは・・・・
その場を1人去ろうとするヨシ。
そして去り際にレイナはヨシの後ろ姿をみて・・・
「ヨシ、私の好きな人はあなたよ」
と、呟くのだった。
こちらを向いてくれていない。
(でも、そう言ったらあなたはきっと困った顔をするもの。私は今のあなたが好きよ。私だけに笑顔を見せてくれたあなたのことが)
レイナは馬に乗りながらそう思い、帰って行った。
レイナの一途な思いを知らず、ヨシはしばらくそっぽを向いていた。
宿に帰っても、無言でいるヨシ。
「ヨシさん?」
「な、なんでもない・・・」
「なぁ?今誰かのことを考えてた?」
「別に誰のことも・・・・」
昼間のレイナの言葉が頭から離れない・・・なんて言えるわけが無い。
「ほら、この前まではそんな顔も見せてくれなかったし・・・やっぱりあのレイナ様の存在がヨシさんの心を和らげてくれたんだね!」
ゴウとジュンが相変わらず茶化すと
(こいつら本当にけが人かよっ)
と、呆れる。
「勝手なことを言いすぎだ」
ヨシは、踵を返してまた出ていこうとした。
「待てよ!そういう気持ちは大切にしないと無くしてからじゃ遅いぞ?」
「・・・・・」
「人を愛することは悪いことじゃないからな」
「ヨシさん、あんたもあの人のことをちゃんと考えてるんだろ?それともそういう気持ちになるのは初めてとか?」
「・・・・・・」
「初めてなんだ」
「わ、悪いか」
「悪くない!逆に可愛い」
「可愛いなんて言うな!」
「(笑)とにかく。Heartは大切!それよりみんな、ご飯食べようぜ!」
と、明るく言うゴウ。
「とにかく次の旅に出発しなきゃな。そのためには腹ごしらえも大切だな」
「ケンの具合は?」
「大丈夫です。明日の朝には元気になるってさ」
「そうか、ならよかった」
「俺たちも、体力つけないとな!」
とゴウは言った。
「・・・・・・」
だが、さっきレイナは言っていた。
「ヨシ・・・・」
「ん?なんだ」
「ゴウさんのことなんだけど」
「ゴウがどうかしたのか?」
「彼を見ててあげて」
「ゴウを?なんでまた」
「見ていてあげないと・・・・」
だが、その先は何も言わなかった。
あれはどういう意味だ?
いつもと変わらないゴウなのに、レイナに言われた忠告が妙に気になる。
そして、
「ゴウ、さっきからなんで食べないんだよ」
と、ヨシは聞いた。
「いや、なんか食欲なくて」
「ダメだよ、兄さん!体力つけなきゃ!っていつも言ってるの兄さんでしょ?」
と、ジュン。
「そりゃそうだけど」
「お前そう言うわりには食細いみたいだし、最近やせたんじゃないか?」
と、ヨシ。
「おー!ヨシさんに心配されちゃった🤭お気遣いどーも!それならいっただきまーす!」
と食べ始める。
「・・・・・・」
やはりいつもと変わらない彼。
「よく食うな・・・・」
必要以上に食べろとは言ってないが・・・。
「食べろって言ったのはそっちだろ?ほら、みんなも食べようぜ」
「まぁ、そうだけどさ・・・・」
心配をして損をした。
「まぁまぁ、みんないただきましょう」
と落ち着いて話を聞いていたのはやはりヒロだった。
6人で旅をして約半年。
少しずつ力もつけて、仲間意識も強くなってきた。
「もう半年も経つんですね」
「こうして旅をしているのにどこにも辿り着かない。辿り着くのは色んな人の傷つく姿・・・・」
と、ヨシは呟いたが
「それだけじゃないよ?」
ケンが口を挟んだ。
「ケン、もういいのか?」
「ヨシさん、気にしてるでしょう?僕が矢に当たったんじゃないかって」
「すまない」
「本当に僕は未熟だって思う。だって、未だにキョウカの居場所が掴めないから」
「ケン・・・・」
「あの方のように・・・、カナさんみたいにキョウカも操られてるかもしれないって考えたら怖くてさ・・・」
「・・・・・・」
ヒロは黙って聞いている。
「・・・・・」
ほかのみんなもだ。
「でも、それじゃあダメだよね?ヒロさん」
「・・・・・」
「僕は信じてる。ううん、決めてるんだ。彼女が操られていても、助けるよ!必ず」
「・・・・・・」
そうケンが発言をして夜が更けていく頃・・・・
「(どうしてそんな強い心でいられるんだ。人を信じられる?例え愛する人が敵になろうとも愛し続けられるってそう誓えるってことなのか?)」
ヨシはそんなことを思いながらも空を見ていた。
「何黄昏てるんだよ。眠れないのか?」
「・・・・・別に?」
「素直じゃない人だな」
「ゴウ、出かけていたの?」
「・・・・・まぁな」
「(こんな夜更けに?いつの間に・・・)」
「みなさん、夜も遅いですから寝ましょう」
「おやすみ」
彼らが寝静まった頃だった。
【フフフ、6人の戦士たち。私を甘く見ないでよね。必ずあなた達の力を奪ってみせるわ】
不気味に笑う彼女がいた。
【カナ様。そろそろ使う時が来たようですね】
【そうね。かなり手こずってしまったけどね。1人の戦士をおびき寄せるいい材料になるわ。彼女はきっとあの戦士のうちの一人の想い人】
【となると?】
【水の国の王子を名乗る者】
【水の国の王子】
【彼女の持っていたものが反応したのよ。間違いないわ。フフフ、きっとわたしの力の1つになるわ。直ぐにね】
キョウカの持っていたペンダントに邪悪な力を加えたカナは、《彼女》を6人が眠る場所へと送り込んだのだった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。