第4話

風船
88
2020/12/28 08:06



来たことのない、知らない土地を歩いて3時間



流石に疲れてきて、近くにあった公園のベンチに座った



すると、


月谷あなた
あ、風船……



男の子が木に引っかかった風船を取ろうとしていた



辺りは暗くなってきていて、人通りも少なかった




気付いたら私はその男の子のところへ向かっていた


月谷あなた
これ取りたいの?
男の子
うん
月谷あなた
ちょっと待っててね



私はもともと運動神経は悪くなかったから、木を登って風船をとってあげた


月谷あなた
はい、どうぞ
男の子
お姉ちゃんありがとう!
月谷あなた
ドキッ
男の子
どうしたの?
月谷あなた
う、ううん
月谷あなた
何でもないよ
男の子
そっか!
男の子
じゃあ僕帰るね!
月谷あなた
うん
月谷あなた
気を付けてね!
男の子
うん!
男の子
ばいばい!
月谷あなた
ばいばい!




『ありがとう!』を聞いた時、胸の鼓動が一気に速くなった



感謝されるって、こんなに嬉しいことだったんだ…




もっと、もっと…!












横にある掲示板を見ると、



「アイドル界の新星発掘オーディション」の文字

月谷あなた
やってみたい…な……




私は、胸の鼓動が更に速くなるのを感じていた

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