第15話

クリスマスイブ
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2021/01/14 09:00

放課後、急いで家に帰り、前日から用意してあった服に着替えて駅前に向かった。


普段はあまり来ない駅前だけど、さすがクリスマスイブ。

街はクリスマス一色に染まっていて、どこを見渡しても手を繋いで歩くカップルや家族ばかり。

そして、街のシンボルのように大きなクリスマスツリーがそびえ立っている。


「久保田さん!」

高瀬先生が手を振って走ってきた。

少しは楽しみにしてくれてたのかな、とほっとする。

高瀬先生の私服は学校でも見るけど、やっぱりプライベートだと違う。スーツではないが、フォーマルな感じでオシャレに着こなしている。

また一段とカッコよくて、大人な落ち着きのある男性だ。


「で、どこに行きたいんだっけ?」

今日は私が誘ったということもあり、私が行く場所を決めた。

「まずは、向こうの通りで色々食べ歩きでもしようかと思ったんですが……」


向こうの通り…に行けば、例のあのビラの店がある。

散策していれば、何かあるかなと少し期待している自分がいた。

「よし、行こうか。」

私たちはあの店がある通りの方へ歩く。

この辺りに学校の人がいることはあるだろうけど、たくさんのカップルで賑わっているし、マスクもつけているからバレることは無いだろう。


そんなことを考えていると、例の店が見えてきた。


相談なんかしてないし、スルーされるだろうと思っていると、サンタクロースの衣装を着たお姉さんが話しかけてきた。

「カップルですか!?」

いきなり、そんなことを聞いてくる。

高瀬先生も驚いて、少しフリーズしちゃってるし。

「ち、違いますけど。」

高瀬先生はそう言った。

少し胸がチクリとする。

事実なのに……自分でも分かってるのに。

「そうなんですか!じゃあ、これからってとこですかね!」

お姉さんは勝手にそう決めつける。

そうだといいんだけどね……違うんだなぁ。


「そんなお二人にはとっておきのプランをご用意しております!さあ、中へ!」


強引に中へ入れられる。

暖房が効いてて温かい。


外は寒かったからラッキーかな。


「では、このようなプランはいかがでしょうか?」

さっきのお姉さんとは入れ替わり、男性がある紙を見せてきた。


「聖夜の星へ?」

私は思わず、声に出して読んでしまった。


「はい。今日は星がよく見えましてね。ここから徒歩10分の穴場ですよ。今日のデートの締めくくりにはピッタリです。」


どうやらこの店はクリスマスを利用して、いわゆる友達以上恋人未満やカップルの二人を見つけてはデートスポットを提案しているらしい。

「あ、ありがとうございます。」


高瀬先生がその紙を受け取り、私たちはその店を出た。

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