第3話

出会い
224
2021/01/04 01:36

「では、入ってきてもらおう。」

みんなが教室のドアを見る。


そこからは、前田先生とは違ってスリムかつフレッシュな男性が入ってきた。


年齢は……20代くらいだろうか。


「今日から二週間、教育実習生としてこの2年1組に入ってもらう。」

教育実習生……か。


「皆さん初めまして、こんにちは。教育実習生の高瀬 雄一たかせ ゆういちです。短い間ですが、よろしくお願いします。」


クラスのあちこちでは女子の「イケメンじゃない?」なんて声が聞こえてくる。


でも、割とカッコイイかも。

「顔は整ってるよね。」

梨乃もそう言った。


「いやぁ……教育実習ってのは、俺らの時代もあったなぁ!懐かしい!やっぱりねぇ、教育実習は楽しかったぞ!そして、青春のようだった!」


教育実習生の横で語り出す前田先生。

これには高瀬先生も少し困惑していた。


「先生、昔話はいいって。」

クラスの男子がそう突っ込む。

「誰が昔話か!たった30年前の話だぞ?」

「30年"も"経ってるんじゃないですか!」


"も"を強調して言い返す男子たち。


「楽しそうなクラスですね。」

高瀬先生がそう微笑んだ。



これが高瀬先生……として二週間の教育実習の始まりだった。

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