第17話

思い出した~紗雪side~
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2019/03/24 14:53
遥輝(ハルキ)
遥輝(ハルキ)
思い出した…
不意に遥輝が言った。
なにを思い出したんだろう?
まさか、こんな風になるきっかけ?
遅すぎる。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
……思い出した…?
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
なにを……?
聞いてみるけど、何も答えない。
なんで?
答えてよ。
しばらく遥輝の顔を見ていると、遥輝が笑った。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
……どうしたの?なんで笑ってるの?
遥輝(ハルキ)
遥輝(ハルキ)
楽しいこと考えてたんだよ。
そう言って遥輝は私に向かって笑った。
ぎこちなかったけど昔と同じような笑顔だった。
見ていると安心するような、胸がきゅうっと締め付けられるような、そんな笑顔。
あぁ、私はこの笑顔に恋したんだ。
今、やっと思い出した。
自然と笑みがこぼれてきた。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
うふふ、遥輝が笑うのを見るのは久しぶりだね。
まるで昔に戻ったみたい。
喉の奥まで登ってきた言葉だったけど、飲み込んだ。
幸せだな。
久しぶりに遥輝の笑顔が見れて。
遥輝と一緒に死にたいな。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
ねぇ、遥輝、聞いて?
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
わたしね、やっぱり遥輝の事好きだから、死にたい。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
一緒に死にたい。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
どうかな?
言い切って遥輝の方を見ると、笑っていた。
昔のような暖かい笑みで。
遥輝(ハルキ)
遥輝(ハルキ)
俺も同じ事考えてたんだよ。
遥輝(ハルキ)
遥輝(ハルキ)
いいよ、死のう。
遥輝(ハルキ)
遥輝(ハルキ)
明日、死ぬからな。
紗雪(サユキ)
紗雪(サユキ)
…分かった。
楽しみだな。
この記憶は、私が死ぬまで取っておかなくちゃ。

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