第12話

第九条
366
2022/07/03 12:18
NOside 
目黒 澪
目黒 澪
あなたさん!お仕事お疲れ様ですっ!
あなた
…え

あなたが長屋に入ると、そこには"見たことのない澪"がいた。
目黒 澪
目黒 澪
あなたさんは…綺麗で、優しくて、憧れです!あ、いなり寿司、作ってみました!
和良部 詩子
和良部 詩子
澪君があなた君に日頃のお礼ですって~♪

おしゃれな服装、次々と口から飛び出す言葉と気遣い。
あなた
…い
目黒 澪
目黒 澪
え?
あなた
や、なんでもないです。ありがとうございます

いなりの乗った皿を受け取り、机の前に座った。


~~~~~~~~~~~~~~~


目黒 澪
目黒 澪
皆さん、すみません、お待たせしました~!

少し外に出ていた澪が帰ってくると、住人たちが笑顔で迎える。

すると詩子が台所から皿を持ってやってきた。
和良部 詩子
和良部 詩子
澪君、はいこれ食べて
目黒 澪
目黒 澪
え?いいんですか?
和良部 詩子
和良部 詩子
手伝ってくれたお礼よ~

お饅頭を持って嬉しそうに笑う澪。
それには少し優越感も見えた。



大きな口で頬張ると、一変、目を見開き叫ぶ。
目黒 澪
目黒 澪
辛ぁぁぁぁ!!!?

目黒 澪
目黒 澪
な、なん、なに!?なに?!
あなた
沼田 飛世
沼田 飛世
はいはい


パチン。


乾いた音が弾き、恐ろしい空気感で住人たちが並び、前にはもがく澪。


辛さに顔を歪ませながら、"澪"はたちまち紫の煙に包まれた。

それは、
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
うぐぐ…
和良部 詩子
和良部 詩子
効くわねぇ
カチカチ山の唐辛子味噌
四谷 伊和
四谷 伊和
観念しなさい、化け狸!

そう、澪に化けた狸だったのだ。
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
狸ぃ?違う!
俺様はドッペルゲンガー!
沼田 飛世
沼田 飛世
狸つったじゃん
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
なぜ俺様の変身がわかった!
あなた
ここに入ってからだよ

一歩後ろにいたあなたが前に出る。
あなた
狸臭いったらありゃしない…唐辛子味噌が間に合って良かった。
和良部 詩子
和良部 詩子
辛かったでしょう?
わらし特製の激辛饅頭は!
四谷 伊和
四谷 伊和
私たちを騙そうだなんて!
あなた
まったく…よくも化け妖怪の格
下げてくれるような真似してくれたね!
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
ん?貴様まさか、妖狐か!

あなたの正体に気付き、後退ったたぬ…ドッペルゲンガーだが、しだいに不敵に笑い始めた。

ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
誰だろうと俺様には勝てん!
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
ぽんぽこ!

そう言うとドッペルゲンガーの腕の中に澪が現れる。というかヘッドロックである。
四谷 伊和
四谷 伊和
澪!
沼田 飛世
沼田 飛世
やっぱ狸じゃん!

伊和が怯んだのを見ると、手に持っていた武器をブンブン回し始めた。
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
当たると痛いぞ~~

大きく武器が軌跡を描くと、皆叫びながら逃げ回る。




と、あなたがサイドに回り込んできた。
ドッペルゲンガー
ドッペルゲンガー
ん!?

ガシャン、と武器の柄とあなたの腕がぶつかり、睨み合うがあなたがはね除けられてしまう。
目黒 澪
目黒 澪
あなたさん!
あなた
っ…
和良部 詩子
和良部 詩子
あああ…あなた君…!
酒井 涼
酒井 涼
この野郎…


勝ちを確信したのだろう。

ドッペルゲンガーは高らかに笑い出した。


自分の力を、知らしめたと言うように。






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