NOside
あなたが長屋に入ると、そこには"見たことのない澪"がいた。
おしゃれな服装、次々と口から飛び出す言葉と気遣い。
いなりの乗った皿を受け取り、机の前に座った。
~~~~~~~~~~~~~~~
少し外に出ていた澪が帰ってくると、住人たちが笑顔で迎える。
すると詩子が台所から皿を持ってやってきた。
お饅頭を持って嬉しそうに笑う澪。
それには少し優越感も見えた。
大きな口で頬張ると、一変、目を見開き叫ぶ。
パチン。
乾いた音が弾き、恐ろしい空気感で住人たちが並び、前にはもがく澪。
辛さに顔を歪ませながら、"澪"はたちまち紫の煙に包まれた。
それは、
そう、澪に化けた狸だったのだ。
一歩後ろにいたあなたが前に出る。
あなたの正体に気付き、後退ったたぬ…ドッペルゲンガーだが、しだいに不敵に笑い始めた。
そう言うとドッペルゲンガーの腕の中に澪が現れる。というかヘッドロックである。
伊和が怯んだのを見ると、手に持っていた武器をブンブン回し始めた。
大きく武器が軌跡を描くと、皆叫びながら逃げ回る。
と、あなたがサイドに回り込んできた。
ガシャン、と武器の柄とあなたの腕がぶつかり、睨み合うがあなたがはね除けられてしまう。
勝ちを確信したのだろう。
ドッペルゲンガーは高らかに笑い出した。
自分の力を、知らしめたと言うように。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!