あなたside
紫耀が迎えに来てくれるって連絡がきて、ちゃんと話さなきゃって思ってたのに車内の気まずい空気に負けて何も言えない…
どうしよう、運転してくれてる紫耀の横顔を見ていたら伸ばされた左手。
触れていいのかな、
そっと右手を伸ばして繋いでみれば握り返してくれた
そのままスーパーへ寄っていつもみたいな会話は少ないけど"普通"に2人で外で手を繋いでるっていう時間が嬉しい
必要な物を買って帰路についた
玄関の扉を開ければ、ほんのり入浴剤の匂いがする
話さなきゃいけないのにきっかけが見つからない…
何か言いたげな紫耀は結局、言われた通りに浴室へと向かっていった
とりあえず、買ってきたものを整理してれば今朝、洗濯物を回した時にもうすぐ無くなると思って買った洗濯用洗剤が出てきたから脱衣所に入った
ちゃぷん、と扉越しに紫耀がお風呂に浸かっている音が聞こえる
洗剤をしまいながら、ふとめについたゴミ箱には見覚えのある入浴剤の袋があった
ゴミ箱から拾い上げれば、いつだったか紫耀が疲れているわたしに買ってきてくれた入浴剤だった
それが分かると、ちゃんと話さなきゃ、きっかけとか待ってたらすれ違う。
そう思って着ていた服脱いで扉を開けた
何も言わずに勢いよく扉を開けたせいで、浴槽に入っていた紫耀は浴槽内で体を滑らせていた
恥ずかしさと緊張を誤魔化す為にシャワーを思いっきり紫耀の顔目掛けてかけてやった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。