シャside
全速力で走り続ける。
胸が苦しく、口の中は血の味がする。
気を抜けば力が全て抜けそうだ。
止まってしまいたい、倒れ込みたい。
その考えを払い除け、走り続ける。
ぶるーくに何かあるよりは全然マシだ!
公園でぶるーくは倒れ込んでいた。
肩で息をする彼は苦しそうにしている。
喘息持ちなのを忘れていた。
ぶるーくは喘息になるラインをわかっていてここ数年は大丈夫だったから。
まずいかもしれない…。
そう小さく呟いて父親と対峙する。
警察が来るまで時間稼ぎをしないと。
きりやんも肩で息をしながら追いつく。
ぶるーくが身体を張って俺達を守ったのだ。
俺達も殴られてはならない。
次は俺達が守る番だ。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!