きんside
お父さんのことを聞き、頑なに話したくなかった理由を理解する。
俺達のお父さんは言っちゃ悪いけどクソだった。
その血が流れていると思うとゾッとするし、悲しくなる。
そう両手を広げるぶる兄の胸に飛び込む。
色んな感情がグルグルと渦巻く。
なかむもきり兄に同じようにしてもらっていた。
双子同士考えることは同じか。
そう謝るぶる兄を見る。
その顔は悲しそうな苦しそうな顔をしていて。
なんでぶる兄がそんな顔するの…。
なんでぶる兄が謝るの…。
俺は確かにそんな奴から産まれたのは嫌だけど…
そう言いながら涙が出てくる。
少しでもそう思わせてしまったことが悲しくて。
ぶる兄の目からも涙が溢れていた。
なかむは俺に抱きついてきて、ぶる兄は俺達を抱きしめてくれる。
きり兄はそんなぶる兄の頭を撫でていた。
そう言ったきり兄の目からも涙が溢れていた。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!