ぶるside
そう言ったスマ兄は悲しそうな顔をしていた。
そうそっぽ向いた彼を見る。
スマ兄にとって僕達は守る存在で。
僕達に守られるっていう発想なんてないんだ。
シャケ兄はとても辛そうな顔をしていた。
そんな顔を見るのは初めてだった。
いつもは怒らないし、宥める役だから。
スマ兄に反応はない。
シャケ兄はクソっと言って部屋から出て行った。
どうしていつも伝わらないんだろうか。
僕はただ…
スマ兄は目を見開いていた。
スマ兄はきっとわかってる。
心の奥底できっと。
だから僕は言葉にする。
久しく皆が言っていなかった言葉を。
きり兄も僕が何をしようとしているか気づいたみたいだ。
泣きながらそう呟く。
スマ兄を見ると驚き固まっていた。
その反応に少し悲しくなる。
意外という反応をしてほしくはなかったよ。
僕はきり兄を連れて部屋を出た。
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。