第5話

大人になるには___⛄️‪‪︎♡
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2022/11/04 11:52





僕の初恋の人


それは5つ年上の女の子だった


親の仲が良くて毎日のように遊んでた


僕を弟のように可愛がってくれて


僕もお姉ちゃんみたいに甘えて


勉強を教えてもらったり


一緒にゲームをしたり


どれだけふたりが大きくなっても


変わらないと思ってた


でも、そんなわけなかった


あなたちゃんが中学生になって


遊ぶことがぐんと減った


高校生になった時には


遊ぶ機会なんてほとんど無くなった


それから僕も中学生になって


全く会わなくなった時だった


あなたちゃんが進学して


東京の大学に行くことになったらしい


そんな会話を聞いた瞬間


頭よりも先に体が動いた


家を飛び出せば


あなたちゃんの家の前には


大きなトラックが止まっていて


業者の人達がダンボールを詰め込んでた



ラウ「あなたちゃん」



久しぶりに会ったあなたちゃんは


すっかり大人びていて


薄く化粧をしているあなたちゃんは


すごく可愛かった



「わぁ、ラウールじゃん」



驚いたような顔をした後


中入る?、なんて言って僕を家の中に入れる


あなたちゃんの家に来たのもいつぶりだろう


懐かしい匂いがふわりと体を包む



「先、部屋行ってて」

ラウ「うん、わかった」



見慣れたドアを開ければ


また、あの時と変わらない少し甘い匂いが


僕の鼻をつく


なのに、行きなれたはずのあなたちゃんの部屋は


もう何も無かった



「おまたせ、お茶でよかった?」

ラウ「うん、全然大丈夫」



折りたたみ式の机を広げ


その上にコップをふたつ並べる



「で、どーしたの?急に」

ラウ「いや、どーしたのって、」



こんなに何もない部屋で


話題なんてそれしかないのに



ラウ「東京、行くんでしょ、?」



彼女をちらっと見ながらそう聞けば



「あー、それね」



なんて、少し切なそうな顔をしながら笑う



ラウ「あなたちゃん」



絶対後悔すると思った


だから、気持ちだけでも伝えておきたかった



「ん?」

ラウ「僕、ずっと大好きだったんだよ、」



少し驚いたような顔をして


二人の間に沈黙が流れたと思いきや


何故かケラケラと笑い出す



ラウ「付き合って、くれませんか?」



これでもかってほど


勇気をだして想いを伝えた僕に対して


あなたちゃんはまた笑い出す



「子供のくせにっ、」



そう言うと


僕のおでこをツン、とつついた


その後にすぐあなたちゃんを呼ぶ声がして


気だるげな返事をしてから



「大人になったらね」



なんて言って部屋を出ていった


大人になったら


大人になったら


あなたちゃん、あなたにとって


僕はまだ子供のままですか、










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