前の話
一覧へ
次の話

第1話

不仲___💎💙
5,114
2022/11/01 14:51





今日は珍しく早く着きそう


まだこんな時間だから


来てるのは北斗ぐらいだろう



「おはよー、」



そう思いながら楽屋の扉を開けて中に入った


少しの間、目が合って直ぐに扉を閉じる


なんでよりによって。


いつも遅いくせに


ほかのメンバーが来るまで時間を潰そうと


体の向きを変えて


来た道を戻ろうとすれば


あのバカみたいにうるさい笑い声が聞こえてくる



大我「あなたおはよ」

慎太郎「え、なにあなたも早いじゃん」



なにしてんの、なんて言いながら


楽屋の前で突っ立っていた私の肩を掴み


中へ入って行くジェシー



ジェシー「え、樹も来てんじゃん」



ジェシーがそう言うと


そういうことね、なんて言いながら


顔を合わせて笑い出す3人


きょもだって北斗と不仲なくせに


最近はファンから雪解け期か?


なんて言われて


こっちは何も変わってないって言うのに



慎太郎「俺、自販機いってくるー」



わざとらしく楽屋を出ていく慎太郎に


笑いながらジェシーも出ていく


きょもにまで出ていかれたら


たまったもんじゃないと


隣にいるきょもの腕を掴んだ



大我「なに、行って欲しくないの?」



こちらも意地悪そうな顔で私の顔を覗いてくる


真顔で顔を縦に振れば


ケラケラと笑いながら



大我「やだ」



なんて言ったあと「仲良くね」とだけ言って


楽屋を出ていってしまった


最悪だ


今度絶対にきょもほくでやり返してやる


なんて、馬鹿なことを思いながら


チラッと樹の方を見る


運が悪いことにきちんと目が合ってしまった



「あ、私も、自販機いってこよっ、かな」



財布を手にとり


逃げるように楽屋を出ようとしたけど



樹「あなた」



なんて、声が私を呼び止める


体を一時停止させ、樹の方をむけばまた目が合う


嫌いなわけじゃない


ただ少し気まずいだけ


あっちがどうかはわかんないけど


でもきっとあっちが私を嫌ってるんだと思う



「な、に?」



たった2文字すら途切れる



樹「やっぱなんでもない」



かと思えばそれだけ言って


またスマホに視線を戻す



「あ、うん」



訳のわからない彼に


混乱しながらまた背中を向けようとすれば



樹「コーラ」



また、彼の声がする


驚いて振り返ればまた目が合った


今日はどこかぎこちないらしい



「奢るの?」

樹「だめ?」

「いや、いいけど」

樹「じゃ、よろしく」



それだけ言ってまたスマホへ


嫌われていると思っていたのに


もしかしたら違うかもしれない



「じゃあ、今度なんか奢ってね」



それだけ言って楽屋を出た


これだけの会話でも嬉しくて


気づけば無意識に飛び跳ねていた


びっくりしたような3人の反応はスルーして


私達も雪解け期なんて言われる日が来るのだろうか


なんて妄想しながら


コーラのボタンを押すのだ








プリ小説オーディオドラマ