hk.side
jr「いってきます。」
hk「いってらっしゃい。」
樹を玄関まで見送る。
hk「今日も暑そうだね。」
jr「……ん。」
hk「水分ちゃんと飲むんだよ?」
jr「……うん。」
扉が閉まる。
いつも通り
そう思っていた。
---
jr.side
jr「おはようございます。」
社員「おはよう。」
席につく。
パソコンを開く。
メール。
資料。
入力。
確認。
仕事はいつも通り進む
上司「ありがとう。」
社員「助かった。」
jr「はい。」
返事もいつも通り
必要なことだけ話す
それで困ることはなかった
昼前
上司「これ今日中にお願い。」
jr「はい。」
資料を受け取る。
席へ戻る。
ファイルを開く。
カーソルが点滅している。
jr 「 ……、、」
画面を見つめた。
何を入力するんだっけ。
資料を見直す。
もう一度読む。
分かる。
内容は分かる。
なのに。
指が動かない。
……
社員「大丈夫?」
隣の先輩に声をかけられる。
樹は肩を少し震わせた。
jr「あ……。」
「すみません。」
「ぼーっとしちゃって。」
社員「疲れてる?」
jr「……少し。」
先輩は笑う。
社員「この時期みんな疲れるよね。」
「無理しないでね。」
jr「はい。」
大丈夫。
まだ大丈夫。
そう思った。
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昼休み
ベンチに座る。
おにぎりを開ける。
食べようとする。
……
手が止まる。
おにぎりを持ったまま。
風だけが吹く。
jr「……。」
何分経ったんだろう。
jr「あ……」
気が付くと、おにぎりが少し潰れていた。
慌てて一口食べる。
大丈夫。
疲れてるだけ。
そう言い聞かせる。
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帰り道。
電車。
人が多い。
今日は少しだけ音が大きく感じた。
子どもの笑い声。
ドアの閉まる音。
車内アナウンス。
全部が重なる。
jr「……。」
イヤホンを少し強く押し込む。
音楽は流れていない。
静かな方が楽だった。
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hk.side
jr「ただいま、」
hk「おかえり。」
樹に顔を出す。
hk「今日はハンバーグ。」
jr「……ん。」
靴を脱ぐ。
そのまま。
また動かない。
jr「……。」
昨日より少し長い。
hk「疲れた?」
樹に優しく声をかける。
樹はゆっくり顔を上げて、
jr「……うん。」
hk「今日は特に?」
jr「……。」
jr.side
答えが出ない。
疲れた。
でも、何に疲れたのか分からない。
jr「……ごめん。」
それしか言えなかった。
hk「謝らなくていいよ。」
北斗が笑う。
hk「荷物、持とうか。」
俺は小さく首を横に振る。
jr「……できる。」
そう言って鞄を持ち上げる。
hk.side
樹がフラッとよろける
jr「あ……」
hk「大丈夫?」
jr「……ん。」
笑った。
でも、その笑顔は少しだけ無理をしていた。
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夕飯
hk「会社どうだった?」
jr「……普通。」
hk「忙しかった?」
jr「……ちょっと。」
hk「そっか。」
沈黙。
でも俺は慣れている。
樹は話すのが得意じゃない。
だから待つ。
待っていると
ぽつり。
jr「……。」
「今日。」
hk「ん?」
jr「……ぼーっと。」
「しちゃって。」
hk「仕事中?」
jr 「コクッ…」
hk「怒られた?」
樹は首を横に振る。
jr「……。」
「迷惑。」
「かけた。」
hk「そんなことないんじゃない?」
jr「……。」
樹は黙る。
" 迷惑をかけた "
そう思っているの樹だけだった。
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夜
お風呂から出る。
俺は洗濯物を畳んでいた。
hk「今日は俺やっとくね。」
jr「……。」
返事がない。
jk「…?」
振り返る。
樹は立ったまま、
洗面所の前で止まっていた。
hk「どうした?」
jr「……。」
hk「眠い?」
jr「……ちがう。」
hk「ん?」
長い沈黙。
jr「……。」
hk「……。」
jr「次。」
「……わからない。」
小さな声だった。
俺は一瞬だけ止まる。
hk「次?」
樹はうなずく。
jr「……。」
「何したら、、」
「いいか…」
「分からない、」
俺は少しだけ考えてから笑った。
hk「そっか。」
「じゃあ、一緒に考えよ。」
樹は俺の方を見る。
hk「お風呂出たら、いつも何してたっけ?」
樹は考える
何秒も。
jr「……。」
hk「……。」
jr「歯。」
hk「うん。」
「歯磨きだね。」
「一緒に行こっか。」
jr「……うん。」
洗面所まで並んで歩く
樹に歯ブラシを渡す
樹は少し安心したように、小さく息を吐いた。
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ベッド
hk「眠れそう?」
jr「……。」
返事はない。
hk「今日は少し疲れたね。」
jr「……うん。」
樹は目を閉じる。
jr「……。」
「仕事…」
俺は首をかしげる。
hk「仕事?」
jr「……。」
「頑張る。」
その一言だけだった。
俺は樹に布団をかけ直す。
hk「うん。」
「でも、頑張るのは明日でもできるから。」
「今日は寝るの、一緒に頑張ろ?」
樹は少しだけ俺を見る。
それでその言葉をゆっくり考える。
寝る。
頑張る。
頭の中で結びつかなみたい
それでも、
jr「……うん。」
小さくうなずいた。
jr.side
その夜も眠れなかった。
隣から聞こえる穏やかな寝息を聞きながら。
" もっと頑張らなきゃ "
その言葉だけが、静かな部屋に誰にも聞こえないまま、
何度も繰り返されていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!