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第1話

1 ただいま
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2026/08/04 11:00 更新
樹(jr)…

発達障害ASDがある。
でも軽度なため、会社には黙って働いている。
社会人一年目。上司からの評価はいい。
北斗と付き合っている。小学5年でASDが発覚。



北斗(hk)…

樹と付き合っている。樹のASDについて理解がある。
樹と同い年だが、北斗がいつも手を引く係。
基本リモートで樹の体調に合わせて仕事を休んでくれる。









朝、六時





アラームが鳴る少し前に、樹は目を覚ました。

天井を見つめる。
今日も会社。




布団の中で数秒だけ固まってから、
ゆっくり起き上がる。

リビングへ行くと、北斗が朝ご飯を作っていた。






hk「おはよ。」

jr 「……おはよう。」




小さな声。

椅子に座る。

ぼんやり湯気を見つめる。





hk.side



hk「今日ちょっと暑いらしいよ。」

jr「……ん。」

hk「帰りアイスでも買う?」




少し考えてから、




jr「……うん。」

それだけ。








俺は慣れていた。
樹は昔から、あまりたくさん話さない。




それでも表情や小さな返事で、
何を思っているかは何となく分かった。






hk「じゃあ今日も行こっか。」

jr「……うん。」







二人は家を出た。










---








jr.side


jr「おはようございます。」





会社へ着く。






社員「おはよう。」



先輩が笑う。





社員「今日もお願いね。」

jr「はい。」














席へ座る。

パソコンを立ち上げる。

メールを確認する。

資料を作る。

入力する。

印刷する。

質問されたら答える。






社員「ここお願い。」

jr「はい。」








社員「電話出られる?」

jr「……はい。」









全部できる。

間違えない。

仕事は丁寧だった。

だから上司からの評価は悪くない。












上司「真面目だよね。」

上司「黙々とやってくれるし。」


そんなふうに言われる。













でも…

昼休みになると、








社員「一緒にお昼行かない?」

jr「……すみません。」

jr「今日は…、、」

社員「そっか!」











断る理由はない。

でも、








食堂の音。

人の声。

笑い声。

食器がぶつかる音。

全部が一度に耳へ入ってくる。

だから一人で外のベンチへ行く。

コンビニのおにぎりを一つ。

静かな場所で食べる。

それだけで午後も働ける。

俺なりの工夫だった。












---










社員「お疲れさま。」




定時


jr「お先に失礼します。」












会社を出て駅まで歩く

人が多い
イヤホンをつける



音楽は流れていない。
耳栓代わり。









改札

ホーム

電車

揺れる

降りる

歩く

玄関のドアを開ける














jr「ただいま。」





返事はすぐ返ってきた。





hk「おかえり。」










北斗がキッチンから顔を出す。






hk.side


hk「今日はカレー。」

jr「……ん。」









靴を脱ぐ、鞄を置く







そのまま動かない。
玄関で立ったまま。
視線は床。








hk「……?」






俺は少し首をかしげた。






hk「どうした?」








返事がない。
怒っているわけでもない。
泣いているわけでもない。




ただ、

動かない








一分ほど経ってから、

jr「あ…」







樹が小さく声を漏らした。




jr「……ごめん。」

「ぼーっとしてた。」





hk「疲れた?」

jr「……ちょっと。」

hk「そっか。」





それ以上は聞かなかった。
仕事で疲れる日なんて誰でもある。
きっと今日がそうだっただけ、




そう思っていた。










---










夕飯




hk「今日会社どうだった?」

jr「……普通。」

hk「忙しかった?」

jr「……ん。」

hk「残業は?」

jr「ない。」








会話は短い。
でも昔からだ。
だから気にならない。





俺が話す。

樹が聞く。



時々うなずく。

それが俺ら二人の普通だった。









---















hk「お風呂空いたよ。」

jr「……うん。」








樹は立ち上がって洗面所へ向かう。

途中で止まる。
洗面台の前。

じっと鏡を見つめる。
何もしていない。








数分後。









俺は様子を見に行った。



hk「どうした?」

jr「……。」






返事がない。






hk「眠い?」

jr「……あ。」




樹は瞬きを繰り返す。







jr「ごめん。」

「何か。」

「ぼーっとしてた。」

hk「疲れてるね。」

jr「……うん。」








そのままお風呂へ入っていった。









---











ベッド




jr.side


hk「電気消すね。」

jr「……ん。」




部屋が暗くなる




jk「おやすみ。」

jr「……おやすみ。」

少しして。







北斗の寝息が聞こえ始める。



俺は目を開けたまま天井を見ていた。





眠い。

体は重い。

でも
頭だけが動いている。






明日の資料。

メール。

電話。

午前中の会議。

コピー用紙。

昼休み。

電車。

失敗しないように。

ちゃんとやらなきゃ。

迷惑かけないように。

もっと。

ちゃんと。

もっと。






















気付けば時計は一時を過ぎていた。



眠れない。

でも、

「疲れてるだけ」

そう思った。






だから誰にも言わなかった。
明日も仕事だから。
頑張らなきゃ。

その一言だけが、頭の中で何度も静かに繰り返されていた。










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