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第22話

朔の思い
……やっちまった。そんな気持ちでいっぱいだった。

恭弥に電話をかけると、予測していたのだろうかすぐに繋がった。
恭弥?
恭弥
ああ
そして恭弥は黙った。

俺から話すのを待ってくれているのだと思い、俺は口火を切った。
……お前は気付いてたのか
恭弥
何に?
俺が臣に何をさせたかったのか
恭弥
んー、なんとなく?まぁ知ってるの俺だけだしな。お前が
「それ」が聞こえる前に、唇を噛んで胸の痛みを紛らわす。
恭弥
一年の時、赤羽さんに告って振られたの



赤羽とはクラスは違ったが隊が一緒で、整列した時に隣だったためたまに話すくらいの仲だった。

それで、気付いたら好きになっていて。

何が好きって、飾らない態度と話しやすさと冷たいように見えて優しいところ、良い意味で女っぽくないさっぱりした性格――何より、あの笑顔だ。

こんな風に笑うのか。そんな感想が頭をよぎって……もっと笑わねぇかなって思った。

俺が笑わせてやりたいって、思った。

だけど振られた。……あまりに呆気なかった。

美瑚
ごめん、あんたのこと友達としてしか見れない

体育祭が終わり、他に接点のない赤羽と関わることはなくなった。

だが、噂は聞いた。赤羽は何人もの男から告白されていながら誰とも付き合っていない。先輩からの告白ですら断っていると。

俺を振ったのに。せめて誰かのものになってくれれば諦めがつくのに。

――なんで全部断るんだよ。


……お前なんか。

俺は臣に、赤羽を惚れさせた後、赤羽を振ってほしかった。苦しめばいいって思ってたんだよ。いつも振る側のお前が、振られる側になったらどうなる?傷ついて泣いて後悔しろ。てきな気持ちで、罰ゲームを提案して……
ふと、何も反応がない恭弥が不安になった。

もしかして、引いただろうか。
……恭弥?
恭弥
……そんな、気持ちだったんだな
思いを汲んでくれているような穏やかさ。

恭弥……。
恭弥
怖っ。臣のものにさせて諦めをつけたいだけかと思ってた。結構本気で怖いわ
は……っ!?お前、そこはただ慰めてくれるとこだろ!
恭弥
俺そんな優しくねぇし。現実なんかこんなもんだろ
そうだった、こいつはこういう男だった。

しかし最後まで話を聞いてくれたり、怖いと言いながら電話を切ろうとしなかったり、地味に優しいから憎めない。
……で、さ。罰ゲームって言ってやらせたのは俺なのに、二人が普通に話してるの見ると落ち着かねぇし、進展した報告に腹立ったし、臣が「赤羽美瑚」に興味を持ち始めてることに焦って……。だから正直、仲違なかたがいっぽい話聞いてちょっとほっとした。最低だよな
恭弥
……薄々思ってたけど、まだ赤羽さんのこと好きなんだな
つい零れた俺の自虐を、恭弥は聞き流して言った。

俺はなぜだか泣きそうになった。
……ああ。ほんと、ムカつくよ

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るうみ
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るうみ
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