そういって兄は部屋から出た。
このままあたしは左馬刻さんたちに会わないかもしれない。
それは嫌だ。
でも今のあたしはなにも言えない。
あたしの兄のマイクは…
複数のマイクをもっている
だから左馬刻さんにトラウマを思い出させる違法マイクもあれば
人を操るマイクもある。
あの人はたくさんのマイクを持って攻撃する。
だから勝ち目はないのか。
左馬刻さんの名前を口にしたとき
ドンッ‼︎‼︎
なにやら外が騒がしくなっていた。
何かあったのかな……
あたしは外に出た。
侵入??
誰が??
外が騒がしいしなにもわからなかった。
後ろを振り向くと、兄がいた。
……いや、本当は行きたくない…
しかし
体が勝手に動いてしまう。
これはもうヒプノシスマイク の効果。
あたしは兄と一緒に歩いていた。
すると……
目の前にいたのは……
、
左馬刻さんがいた。
なんでここにいるの…??
違法マイクの効果が取れたの?
本当は左馬刻さんの元に行きたいけど
体が動かない。
話せない。
ううん、違うの。
本当は助けて欲しい。
でも、その言葉が出せない。
あぁ、左馬刻さん……
すごくあたしは左馬刻さんに助けを求めたい。
それを口に出せない。
どうしよう…
怖いよ…
あたしの体は左馬刻さんの方はゆっくり歩く。
そしてマイクを持っていた。
本当の気持ち……
あたしの…
本当の気持ち……
あたしはゆっくり左馬刻さんの元へ近づく。
あたしの気持ちは……
そしてあたしと左馬刻さんは手を伸ばせる距離になった。
あたしの気持ち……
『左馬刻さんを攻撃したくない。 左馬刻さんのそばに居たい。
大切な人と一緒にいたい。あたしを守ってくれる大好きな恋人に…
だから……お願い……』
、
あたしは涙を流して左馬刻さんに言った。
これが本当の気持ち…
本当は左馬刻さんとずっと一緒にいたい。
幸せになりたい。
笑っていたい。
あたしの心はそう思っていた。
そしてあたしが言った瞬間
グイッ
ギュッ
腕を引っ張られ
左馬刻さんはあたしを抱き締めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!