第72話

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2020/10/25 12:04
次の日
貴方
貴方
左馬刻さーん…
もうちょっと…
左馬刻
左馬刻
お前寝すぎだろ。
おら、起きろ!!
貴方
貴方
きゃー!!
え、今何されてるかって??
起きたくなかったのに、抱えられました。
左馬刻
左馬刻
あなた、豚になるぜ。
貴方
貴方
もうなってまーす…
左馬刻
左馬刻
お前なぁ…
貴方
貴方
だって体が重いんだもん…
ガチャ
銃兎
銃兎
左馬刻!!
あなた!!
早苗(さなえ)
早苗(さなえ)
え!?
目が覚めたの!?
貴方
貴方
え??
知らなかった??
銃兎さんと早苗が部屋に来た。
左馬刻
左馬刻
あぁ、昨日な。
早苗(さなえ)
早苗(さなえ)
なんで言わなかったの!?
貴方
貴方
え、知ってるかと思ってた…
銃兎
銃兎
知ってるわけないだろ。
貴方
貴方
父さんとか言ってくれると思ってたのに…
早苗(さなえ)
早苗(さなえ)
まぁ目が覚めて良かったよ。
琴奈にも連絡しておくから…
銃兎
銃兎
あと、いちゃついてるのに部屋入ってすまなかった。
俺たちはもういくからな。
そういって二人は部屋を出た。
貴方
貴方
じゃあ二人が帰ったし寝よう…
左馬刻
左馬刻
あ゛??
テメェいつまで寝てんだよ。
さっさと起きろよ。
もう昼間になんだぞ。
貴方
貴方
だってやることないんだから……
左馬刻
左馬刻
じゃあ俺様に朝まで抱いてやっても悪くねぇなぁ…ニヤ
貴方
貴方
起きます、すみませんでした。


















獄
なんだ、俺に聞きたいことでもあるのか。
貴方
貴方
あ、はい。
爽秀と禊月のことですが…
獄
あぁ、爽秀の上に兄がいたのか。
それは知らなかったなー…
それが禊月だろ??
貴方
貴方
爽秀は知ってるのですか??
今、獄さんに話を聞いてもらってる。
獄
いや、知らないと思うな。
その話は一回もなかったからな。
貴方
貴方
そうですか…
獄
爽秀…あいつ、違法マイクでも作ってるのか。
貴方
貴方
詳しくはわかりませんが、複数のマイクを使ってるみたいで…
獄
……あいつ、本当にヤクザの道入ってるな。
中々抜け出せねえな。
貴方
貴方
はい…
獄
俺からも情報を集めるから何かあったら連絡してくれ。
貴方
貴方
わかりました…
獄さんは去って行った。




あぁ、家族みんなで過ごしたことないから…




よくわかんないや。




何が正しくて何がいいのか。




あたしの家族は五人だって事は分かったけど




その5人が集まるのか…





家族とは一体…?





不思議な感じだった。




昔から羨ましかった。

家族みんなで食べに行ったり、旅行行ったり、喧嘩したり、慰めてくれたり…




そんな事今まで無かったから…
貴方
貴方
家族か…
あたしは歩きながら考えていた。
もし、父さんも母さんも普通の人間だったら、仲良く過ごせたのかもしれない。




でも、ここの世界はもう普通じゃないや。




もう分かってた。
貴方
貴方
これが運命だったら、仕方がないよね…
父も母もこれはあたしたちのためだったってことを教えてくれた。



だから恨んでてもしょうがないよ。




今を生きていくしかない。
左馬刻
左馬刻
…何ブツブツ言ってんだよ。
貴方
貴方
あ…
歩いてる目の前に左馬刻さんの姿が。
左馬刻
左馬刻
話は終わったのか?
貴方
貴方
あ、はい。
終わりました…
左馬刻
左馬刻
飯、食いに行くぞ。
貴方
貴方
え…??
左馬刻さんはあたしの手を引っ張り、歩いて行った。
左馬刻
左馬刻
腹減ってんだろ。
今から飯食って部屋戻って明日のために体力つけねえとな…
貴方
貴方
左馬刻さん…
そっか…あたし、左馬刻さんと出会ってから



なんか明るくなった気がしたんだ。



何も知らない人たちと暮らして、ご飯も作って、話もして…



そうしたら左馬刻さんと恋人になって…



恋もしてたんだ。



なにもわからなかったあたしを受け入れてくれたのは



周りにいる仲間と、左馬刻さんたち。





あたしは嬉しかったんだ。




ギュッ




あたしは後ろから左馬刻さんに抱きついた。
左馬刻
左馬刻
…なんかあったのか。
貴方
貴方
ううん、なにもないよ。
左馬刻
左馬刻
じゃあなんだよ急に。
貴方
貴方
…なんでもない。
左馬刻
左馬刻
なんでも無かったらこんなことしねえだろ。
左馬刻さんに出会えて色んなことを知った。
だからあたしは……





今が幸せ。
左馬刻
左馬刻
……あなた。
大丈夫か?
貴方
貴方
平気だよ…
相手はヤクザだけど…





これだけ愛してくれる人はいない。




貴方
貴方
左馬刻さん…
左馬刻
左馬刻
あ??
貴方
貴方
…大好き。
あたしを愛してくれてありがとう…。
あたしは、幸せだよ。
あたしは涙を流していた。
左馬刻
左馬刻
泣いてんのか…
貴方
貴方
だって……
左馬刻さんは腕を引っ張り、あたしたちの部屋に入った。



そして




あたしを抱きしめた。
左馬刻
左馬刻
なんで泣いてんだよ……
貴方
貴方
違うの…
家族いなかったあたしを左馬刻さんは愛してくれたから…嬉しいだけだよ。
左馬刻
左馬刻
家族が居てもいなくても、俺はあなた自身を好きになった。
過去がどうであれ、俺はあなたを愛してるからな。
貴方
貴方
うん、ありがとう……
チュッ




あたしは左馬刻さんにキスをした。
左馬刻
左馬刻
っ!!///
貴方
貴方
左馬刻さん顔真っ赤…///
左馬刻
左馬刻
うるせぇなぁ…///
今度は左馬刻さんからキスをした。



甘くて濃厚なキス。
貴方
貴方
んんっ…///
あぁ…




愛されるって幸せ。




もう左馬刻さんと離れたくない…
そんなことを考えながら…
左馬刻
左馬刻
あぁ、わりぃ……歯止め効かねえからな…
覚悟しろよ、あなた。
お前が誘ったからな。
そう言ってあたしたちは朝まで愛し合った。
貴方
貴方
左馬刻さん…大好きだよ。
愛してくれてありがとう…
左馬刻
左馬刻
あぁ。
俺もお前のこと愛してる。
死ぬまであなたのこと抱きつくしてやるからな。
あなた……。
愛し合ってる二人には、景色が綺麗に見えた。




この二人の夜は誰にも邪魔されない。




二人だけの大切な夜。

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