第12話

112
959
2020/10/03 07:47
レストラン
貴方
貴方
うーわ……
貸切なんだこれ……
めちゃくちゃ高いレストランに連れてかれたあたしと左馬刻さん。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
いつものやつ頼んでくれ。あと今日は外にいてくれ。
部下
わかりました。
貴方
貴方
何回も来てるんだ……
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
さて、何から話そうか。
碧棺左馬刻、お前は酒呑めるな。
左馬刻
左馬刻
今日は飲まねえよ。
こいつに何かあったらぶん殴れねえからな。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
まあいい……
貴方
貴方
……あたしは貴方のもとへ行きませんから。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
……そうか。
そう簡単には俺のところに来ないか。
貴方
貴方
行かない。
……あたしの兄が貴方のこと恨んでた。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
…会ったのか。
左馬刻
左馬刻
…まぁ、俺んとこの組と仲悪くてなぁ……
お前の息子、ヤクザの若頭やってんぞ。
どういうことだよ。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
…知らないな。
あいつのことは…
貴方
貴方
見捨てたんでしょ???
あたしと兄のこと……
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
別に見捨てたわけじゃ……
貴方
貴方
兄は相当貴方のこと恨んでますけど。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
……あいつはあいつなりに勘違いしてるだけだ。
左馬刻
左馬刻
…どういうことだよ。
すると、






店員
お待たせしました。ワインとノンアルコールをお持ちしました。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
あぁ、ありがとう。
貴方
貴方
……あれ、ノンアルコール…?
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
……お前はお酒飲めないだろ。
未椿の遺伝が入ってるからな…
あたしのこと、気にしてくれたんだ。




左馬刻さんのもノンアルコールの飲み物にしてくれた。





やっぱりあたしの父親なんだ…







螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
…俺が狙われているのは聞いたよな?
貴方
貴方
うん…母さんから聞いた……
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
もちろん狙われてるのは天慈組もそうだが…
中王区にも狙われてるからな。
貴方
貴方
…なんで?
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
言の葉党に逆らったから…だな。
俺はあいつらが嫌いだからな。
貴方
貴方
………そう…
左馬刻
左馬刻
あの未椿ってやつと危険な恋愛してんじゃねえか。
貴方
貴方
…どういうこと?
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
中王区の人間と言の葉党に狙われてる俺が結婚してたら
家族が狙われるだろ。
だから俺らは離れたんだ。
時が終わるのを待ってな……
貴方
貴方
……そういうことだったの…
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
俺は上の人間にもヤクザにも狙われてるってことだ。
まぁ、今はこうやってセキュリティも固めて院長やってる訳だ。
いつ狙われてもおかしくない。
中王区が今俺のところに来ないのは未椿がなんとかしてくれてるからだな。
父さんがあたしたちを見捨てた訳じゃなかった。





あたしたち家族のために、逃げてたんだ。



貴方
貴方
………。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
お前は俺のことを許さなくてもいい。
だが、無事ならよかった。
貴方
貴方
……大丈夫…
もうわかったから……
でも…お願いだからあたしと左馬刻さんを離れさせないで。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
……理由を聞こうか…
貴方
貴方
左馬刻さんはヤクザであたしは普通の大学生。
もちろんあたしと左馬刻さんはディビジョンも違うし、ディビジョンの上にいる人間だけど…
でもあたしは危険な恋愛でも左馬刻さんとは離れたくないの。
左馬刻
左馬刻
あなた……
貴方
貴方
一番に守ってくれたのは左馬刻さんなの。
貴方がどんなに許されなくてもあたしは左馬刻さんといたいの。
左馬刻さんたちと出会ってから家族みたいに楽しい。
だから…お願い。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
………そうか。
父はワインを飲んでいた。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
碧棺左馬刻。
左馬刻
左馬刻
あぁ?
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
いっておくが、あなたは狙われやすいからな。
何があっても守るよな?
左馬刻
左馬刻
あたりめーだろ。
今まで守ってきたのは誰だと思ってんだよ。
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
…なら良い。
貴方
貴方
良かった………ありがとう…父さん…
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
……父さんって言われるのは…
初めてだな…
貴方
貴方
っ!!
べ、別に好きで呼んだんじゃ………
螺鐘(らしょう)
螺鐘(らしょう)
フッ………
お前も大人になったな……
貴方
貴方
うるさいなぁ……

プリ小説オーディオドラマ