第49話

[二条]③ みんな剣の名手!?
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2021/07/13 02:16
二条の中庭。

明るく真っ直ぐな杏寿郎のまわりには、
いつも人が集まるようになっていた。
皆で剣の稽古をしている。
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
よもや!
あなた様!今日も麗しい

稽古、見てゆかれるか?
(なまえ)姫
あなた姫
そうする

無一郎は、すっかり杏寿郎に
なついているわね
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
うん
杏寿郎殿、ほんとすごいんだ!!

それにここのみんなも!
(なまえ)姫
あなた姫
ほんと…みんなすごいわね

剣の名手ばかりで驚いたわ!


皆は、代わる代わる剣を振っている。
善逸(末摘花)
善逸(末摘花)
僕、これしかできないけどっ

ザザンッ
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
よもや!
善逸殿、見事な剣さばきだ!
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
速くて見えない
雷が落ちたみたいだ!
後ろから、小芭内がしなった剣をくり出す。
善逸(末摘花)
善逸(末摘花)
(剣を振る音だ…)

パシーン(受け止める)

僕、耳だけは人一倍いいんだ
小芭内(明石の君)
小芭内(明石の君)
ふんっ
やるな!

じゃあこれはどうだ?
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
わっ!

なんだあの動き!?
蛇みたいに曲がったよ?

って僕!?

パシーン(受け止める)
小芭内(明石の君)
小芭内(明石の君)
無一郎様、油断していたか?
小芭内は、庭に竹で作った人形を並べた。
小芭内(明石の君)
小芭内(明石の君)
この人形に当てないよう、
剣をさばけ!
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
なるほど
面白い訓練だ!
スバァッッ!!
錆兎が人形のすきまから斬りかかる。

泉から水龍が出たように見えた。
錆兎(空蝉)
錆兎(空蝉)
どうだ?
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
この剣筋…
義勇様にすごく似てる!!
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
錆兎殿、ぜひ手合わせお願いする
ズバァッ…
シャキーン…

真剣な斬り合いだ。
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
よもや!お強い!
錆兎(空蝉)
錆兎(空蝉)
杏寿郎殿こそ!
眺めていたあなたは、思わず涙ぐむ。
(なまえ)姫
あなた姫
錆兎の剣は、義勇みたい…
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
流れる水のようだ…
(なまえ)姫
あなた姫
うん…

やっぱり、錆兎は
義勇と魂がつながっている…


すると、錆兎の剣を見ていた勇霧が
目を輝かせて立ち上がった。
勇霧
ぼくもやりたい
(なまえ)姫
あなた姫
そうね
小芭内(明石の君)
小芭内(明石の君)
勇霧、では錆兎殿に教わるといい
錆兎(空蝉)
錆兎(空蝉)
勇霧様、俺が立派にお育てしよう
勇霧
がんばるよっ!
二条の中庭は花誇り、
優しい光に包まれている。
(なまえ)姫
あなた姫
さ、じゃあ休憩にしましょう

杏寿郎が取り寄せてくれた、
珍しい唐菓子があるわ
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
皆もぜひ食してくれ!
みんな衣を脱いで、
稽古でかいた汗を泉で冷やす。

二条は、活気に満ちあふれていた。
(なまえ)姫
あなた姫
こんな穏やかな時間…
わたしには過ぎたる幸せだわ
善逸(末摘花)
善逸(末摘花)
僕もほんと幸せですっっ!!
小芭内(明石の君)
小芭内(明石の君)
ああ
悪くない
錆兎(空蝉)
錆兎(空蝉)
そうだな
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
みんな…
杏寿郎(花散里)
杏寿郎(花散里)
無一郎様、
俺は煉獄家に伝わるこの戦術を
書にまとめようと思っている

手伝ってくれるか?
無一郎(紫の上)
無一郎(紫の上)
杏寿郎殿…僕に!?

はいっ!!
(なまえ)姫
あなた姫
無一郎、よかったね




皆があなたを取り囲んで
談笑していると、
従者があわててやってきた。
従者
あなた様っっ!
(なまえ)姫
あなた姫
どうしたの?
そんなに息を切らして
従者
大変です!

母上がっ…桐壷の女御が…

お亡くなりです…
(なまえ)姫
あなた姫
…えっ!?

母上が!!??


母上が亡くなった。

寂しい、悲しい…
そんな感情より真っ先に感じたことは、


やっと呪縛から解かれた…



ただそれだけだった。



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