二条の中庭。
明るく真っ直ぐな杏寿郎のまわりには、
いつも人が集まるようになっていた。
皆で剣の稽古をしている。
よもや!
あなた様!今日も麗しい
稽古、見てゆかれるか?
そうする
無一郎は、すっかり杏寿郎に
なついているわね
うん
杏寿郎殿、ほんとすごいんだ!!
それにここのみんなも!
ほんと…みんなすごいわね
剣の名手ばかりで驚いたわ!
皆は、代わる代わる剣を振っている。
僕、これしかできないけどっ
ザザンッ
よもや!
善逸殿、見事な剣さばきだ!
速くて見えない
雷が落ちたみたいだ!
後ろから、小芭内がしなった剣をくり出す。
(剣を振る音だ…)
パシーン(受け止める)
僕、耳だけは人一倍いいんだ
ふんっ
やるな!
じゃあこれはどうだ?
わっ!
なんだあの動き!?
蛇みたいに曲がったよ?
って僕!?
パシーン(受け止める)
無一郎様、油断していたか?
小芭内は、庭に竹で作った人形を並べた。
この人形に当てないよう、
剣をさばけ!
なるほど
面白い訓練だ!
スバァッッ!!
錆兎が人形のすきまから斬りかかる。
泉から水龍が出たように見えた。
どうだ?
この剣筋…
義勇様にすごく似てる!!
錆兎殿、ぜひ手合わせお願いする
ズバァッ…
シャキーン…
真剣な斬り合いだ。
よもや!お強い!
杏寿郎殿こそ!
眺めていたあなたは、思わず涙ぐむ。
錆兎の剣は、義勇みたい…
流れる水のようだ…
うん…
やっぱり、錆兎は
義勇と魂がつながっている…
すると、錆兎の剣を見ていた勇霧が
目を輝かせて立ち上がった。
ぼくもやりたい
そうね
勇霧、では錆兎殿に教わるといい
勇霧様、俺が立派にお育てしよう
がんばるよっ!
二条の中庭は花誇り、
優しい光に包まれている。
さ、じゃあ休憩にしましょう
杏寿郎が取り寄せてくれた、
珍しい唐菓子があるわ
皆もぜひ食してくれ!
みんな衣を脱いで、
稽古でかいた汗を泉で冷やす。
二条は、活気に満ちあふれていた。
こんな穏やかな時間…
わたしには過ぎたる幸せだわ
僕もほんと幸せですっっ!!
ああ
悪くない
そうだな
みんな…
無一郎様、
俺は煉獄家に伝わるこの戦術を
書にまとめようと思っている
手伝ってくれるか?
杏寿郎殿…僕に!?
はいっ!!
無一郎、よかったね
皆があなたを取り囲んで
談笑していると、
従者があわててやってきた。
あなた様っっ!
どうしたの?
そんなに息を切らして
大変です!
母上がっ…桐壷の女御が…
お亡くなりです…
…えっ!?
母上が!!??
母上が亡くなった。
寂しい、悲しい…
そんな感情より真っ先に感じたことは、
やっと呪縛から解かれた…
ただそれだけだった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。